僕が君の傘になろう。３

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俺の視線につられるように、
由梨が部屋の隅のカメラをチラッと見上げた。


カメラあるん、知らんかったみたいや。


(もう出る)


急に立ち上がって、
さっさと出て行くから。

俺も慌てて追っかけた。








レジで精算してたら、
隣に、同い年ぐらいの女の子のグループがやって来て。

こっちをちらちら見てるねん。


なんやろ？

由梨の知り合い？


あんまり気になるし、
俺が会釈したら、
由梨もその子らに気付いて。

その顔が青ざめてく。

会いたない相手なんやって、
すぐに気付いたけど、
店員さんがカード支払いの操作に手間取っとって。


「やっぱ由梨じゃん。
久しぶりー」


声かけられてもうた。

由梨が俺の手を引いて、
逃げようとするから。

ぎゅっと繋ぎ返す。


こういう場合は。


「もしかして、由梨の友達？」


こっちから先制したったらええねん。


「あっ、はい。
私たち、由梨の小中高の同級生です。
あの・・・」


「あっ、申し遅れました。
俺は由梨の彼氏で、
安田章大って言います」


はっきり宣言して、
由梨を背中に隠した。


ほしたら、
隅に移動して。


「彼氏なんて出来るんだ・・・」


「耳、聞こえないのにカラオケなんて来てさ」


「一生治んないって聞いたよね？
彼氏、聞こえてる、普通の人だよね？」


「うん、悔しいけど、カッコいい・・・」


３人でごにょごにょ言い合うてる。

めっさ感じ悪いねんけど。


由梨は、学校で、ほんまに嫌な思いしたんやろうな。

一生分の辛いこと経験してんから。

こっから先は、ずーっと俺が幸せをあげたい。


「あの、良かったら、
この後、ご一緒しませんか？
私たちもちょうど終わって、
終電も無くなったし・・・
由梨に会えたの久しぶりで、
懐かしくて」


真ん中のショートカットの子が話しかけてきた。


「ごめん。
俺ら、ちょっと急いでるから。
失礼します。
由梨、帰ろ？」


戸惑ってる由梨に目配せして、手を引く。

由梨、安心したように微笑んで、うなづいた。






カラオケ屋さん出て、俺の部屋まで。


夜風は心地ええし、
月も綺麗し、なんて幸せな夜やろ。


背中に、あの子らの視線がうざいけどな。

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