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「早く乗れって。
お前はずっと俺にかしずいて生きてけばいいんだよ。
心の底では、それを望んでんだろ？
幸せなんて、お前には似合わねーって、
自分が一番、分かってんだろ？」
高橋が、苛立った声で吐き捨てて、
立ち尽くしたまんまのAの身体を、
物のように、乱暴に車の中に押し込もうとしてる。
「違う！
Aは俺が守る。
二人で幸せになるねん」
俺を見つめてるAの瞳は、
不安げに、まだゆらゆら揺れてて・・・
その迷いが手に取るように伝わるけど。
「A！行ったらあかん！
俺んとこ、戻って来い！」
立ちはだかる高橋と母親を押しのけて、
もう半分、車の中にあったAの手を、
必死で掴もうとして、
手を伸ばす。
指先がかすかに触れた瞬間。
「りょ、お、」
確かにAが、
はっきりと、俺の名前を音にした。
「A！
おいで」
確かに俺の声は、
Aの胸に届いて。
Aが、ありったけの勇気で、
不幸の中へと閉じ込めようとしてる二人から逃れて、
俺の腕の中に、
飛び込んできた。
降りしきる雨の中、
その華奢な身体をしっかりと抱きとめる。
そのまま、
濡れたアスファルトに、
抱き合いながら、崩れ落ちた。
俺たちを見下ろしながら、
高橋が舌打ちをしてる。
「錦戸、お前にくれてやるよ。
こんな女」
その表情は見えへんけど、
しばらくして、
乱暴にドアを閉める音と、
車のエンジン音が聞こえてきた。
車が急発進して、
泥水が跳ね上がる。
Aを庇って、
包み込んだ時、
残された母親が、
ハイヒールを脱いで投げつけてきた。
鋭利な刃物のようなそれは、
俺の耳を掠めて、
転がって、
やがて排水溝へと、落ちていった。
容赦なく叩きつける雨から、
俺が傘になって、
この子を守りぬく。
そう決めた。
渋滞のヘッドライトの波の中を、
かいくぐるように、雨に濡れて、二人で歩く。
電車も止まってもうて、
タクシーも捕まれへん。
乗り捨ててきた俺の車に辿り着いた時には、
もうお互い、びしょ濡れで、
体温奪われたんか、
Aは、夏やっていうのに、
ガタガタ震えてる。
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イエローエイター - 久しぶりに錦戸さん主役の見たくて見返してました。やっぱりこのお話大好きです。章ちゃんバージョン追加してて嬉しかった。亮ちゃんのとこの子育ても見たい気がしますが。また、違うので亮ちゃんメインで書いて下さる事を期待しています。では、違うの読み返してます。 (2021年7月16日 14時) (
レス) id: fdbe323cf8 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - 番外編、完結お疲れ様でした(*^^*) キャラクターが活きていてとても楽しめました、ありがとうございました♪ (2020年10月9日 21時) (レス) id: 3389004d8b (このIDを非表示/違反報告)
happiness☆(プロフ) - foolさん、番外編、素敵なお話でした。本編・番外編共にこの先も見てみたいなぁと思いました。いつも、素敵なお話をありがとうございます。 (2020年10月9日 18時) (レス) id: 665999d5e7 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 番外編の完結おめでとうございます。読むことができて嬉しいです！ありがとうございます！みんなが優しくて、私もこんな風に思い合って大切にしていきたいなぁと感じました。これからも応援しています。 (2020年10月9日 16時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ(プロフ) - 本編も番外編も、素敵なお話でした。ありがとうございました。こんな素敵な人達が増えてきたら本当にいいな。と思えるお話で大好きです。 (2020年10月9日 8時) (レス) id: 177d327f15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2019年9月11日 17時
