僕が君の傘になろう。

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私の友達って？


聾学校の友達？

それとも、会社の人？


聞けない・・・



錦戸ごめん。嫌やったらええねんけど。この前のボーリング楽しかったし。また行きたいなって、思って。


A嫌とかじゃないです。全然違います。でも皆さんに迷惑になるかなって・・・


錦戸迷惑なわけないやん!土曜日で決まりな。車で迎えに行くから。じゃ、明日、会社で。はよ、寝な、また頭痛なったらあかんわ。おやすみ。



最後、すごく唐突に強引に、メールは一方的に途切れた。


Aおやすみなさい。ありがとうございました。



本当は、嬉しいです、って、
うちたかったけど・・・


勇気なかった。


夢なのかな？

夢なのかも？


もう一度、メールの文字を最初から読み直してみる。


やっぱり、土曜日、海に行こうって書いてるよね？


海。


海ってことは、泳ぐって事？


それは無理。


錦戸主任の前で、水着なんて、とんでもない。

ぜーったいに着れない。


でも、休みの日に会えるなんて。


ずっと憧れてたの。


アニメや漫画やドラマ、映画の世界では、


数人の男女グループになって、
楽しく出かけたりするの。


私の人生には、
そんな事、起こり得なかった。


今も親しくしてる友達は一人だけ。


聾学校の時、
高校生になってから失聴して転校してきた、
由梨だけ。

由梨はプライドが高くて、
絶対に聾学校の他の子達と、
交わろうとはしなかった。

自分は違うって、いつも言い続けてた。


直接聞いたことはないけど、

由梨の心の中の叫びは、
ちゃんと分かってるつもりだ。


だって、私もおんなじだから・・・



由梨を連れて行ってもいいのかな。


錦戸主任と安田先輩に恥をかかせるのだけは、
どうしても、耐えられない・・・


私は自分を恥ずかしいって、

大切な友達のことさえ、

恥ずかしいって、そう思ってるんだ。



それは全部、自分の運命じゃなくて。

あの人の、・・・母親の過失のせいだった。


あの人自身が、いつもそう言ってた、って、

智が言ってた。

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