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誠「ついたで」
「うわぁ懐かしい！」
高速を降りてしばらく走ったら
見たことある道になって
広い駐車場の奥に観覧車が見えた瞬間、
思い出が一気にあふれてきた。
「前も来たよね？小学生の時に」
誠「そうそう。Aが3年生で、俺が6年生やったかな」
「なんで来たんやっけ？
夏休みやっけ？あれ？」
誠「A、」
思い出そうとしてたら
車のドアを閉めた誠也くんが目の前にやってくる。
誠「はい、これ。
俺からの誕生日プレゼント」
「えっ？」
急に手渡された赤いカードを開いたら
見慣れた誠也くんの字が並んでて。
『今日のデートコース
1・遊園地で遊ぶ
2・秋桜を見に行く
いっぱいあそぼうね！』
……これ、知ってる。
「なんで、」
誠「覚えてる？」
「うん。だって、何回も作りなおしたから」
よかった、思い出した。
小学校3年生の夏休みの終わり、
誠也くんの誕生日に私がプレゼントしたカード。
小学校卒業したら誠也くんと会えなくなるって聞いて
いやだぁ！って駄々こねて作ったんやっけ。
結局、秋桜の時期にはちょっと早くて
誠也くんの誕生日には全然間に合わへんかったけど
別の日に誠也くんと私の家族で、このカード通りに遊びに行ったんよね。
確か、名前は、
誠「俺との“デート券”、もらってくれますか？」
悪だくみが成功した子どもみたいに楽しそうな顔して覗き込んでくる誠也くんに
返す言葉はひとつだけ。
「はい、喜んで！」
誠「よかったぁ、ちゃんと覚えてて。
これで「なんやねんこれ」って言われたら
もう帰ろ思ってたわ(笑)」
「でも、ほんまにカード見るまで忘れてたよ？」
誠「やろうな。
大事に取っといてよかったわ。
ほんなら、はい。
手ぇ繋いで」
「えっ！？」
あのカードまだ取ってるの！？って
聞こうと思ったのに
誠也くんがさらっとそんなこと言うから、
誠「え、って(笑)
あん時やって繋いでたから、ちゃんとマネせなあかんやん」
ビックリしてる私の手にあっという間に握って、
誠「そんじゃレッツゴー」
「せ、誠也くん待って！」
心の準備なんてできないまま
ご機嫌に歩いてく誠也くんに手を引かれて
入場ゲートを通る。
「うわぁ、全然変わってない！」
誠「俺も久々来たけど、ほんまあん時のまんまやな(笑)」
平日の午前中やから人が少ない遊園地は
まるで2人きりの夢の国みたいでワクワクした。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
