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結「大晴くん、……ありがとう。
大晴くんの気持ちはすごく嬉しいし、
私にとって、大晴くんは大事な人で、
多分、他の演劇部の人よりずっと特別に想ってる。
だけど、……その“大事な人”がどう大事なのかが
まだ、自分でもうまく整理ができてなくて。
同じ熱量で脚本に向き合ってくれる仲間としてか、
慕ってくれてる可愛い後輩としてか。
それとも、ちゃんと異性として好きなのか。
こんな曖昧なまま付き合うのは大晴くんにも失礼だと思うから、
……少し考える時間をください」
まっすぐにこっちを見あげた視線は
いつもより凛々しくて。
あ、こんな表情もするんやって
こんな時なのに、そんな発見が嬉しい。
「……大事な人、か」
結「え、」
「いや、……あん時よりはちょっとは前進したんかなって」
―じゃあ、……俺は？―
―え、―
―俺は、大事な人ですか？―
―大晴くんは……、大事な後輩―
花火大会の夜、
ただただ、まっさんがうらやましくて
それでも近くにいたいって思ったこと。
あの時の気持ちは、今も変わらへんまま
けど、あの時よりもっと強く、そう願うから。
「ユキさん、好きやで」
あの時、言わなかった言葉を今度はちゃんと伝える。
「やから、待ってます」
結「……うん、ちゃんと考える。
いっぱい考えて、ちゃんと返事するから。
だから、……待ってて」
そう言って少し泣きそうな顔してこっち見るから、
俺までちょっとうるっときちゃって、
「もぉ、泣かんといてよ(笑)
抱きしめたなるから」
結「……抱きしめても、いいよ」
「……もう、ズルいって」
ほんま、どんだけ小悪魔なん？
振り回されるんもえぇけど、たまには反撃させてよ。
さりげなく握ってた右手の指先を絡めて、恋人繋ぎする。
「そんなん言うたら、期待してまうけど、えぇの？」
あざとく小首を傾げてみせたら
繋いだ手の甲に、ちゅ、と音を立ててキスした。
できるだけキザに。
ユキさんの目に映るんが、一番カッコえぇ福本大晴に見えるように。
結「……それはズルいよ。大晴くん」
「お互い様やろ？
それに、ちゃんと異性として好きになってもらわなあかんから、
こんなん序の口やで？」
結「あらら、それは困るなぁ。
部活中はだめだからね？
誠也くんに怒られちゃう」
「えぇー、我慢できひんかも」
結「我慢してください」
「はぁい(笑)」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
