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結「昔、好きだった小説の中でガリレオ温度計が出てきて
それからずっとほしいなって思ってるんだけど
なかなかこれって言ったものがなくてね」
「そぉなんすね。
やったら、来年のユキさんの誕生日に俺がプレゼントしますよ。
今からえぇの探しときますから」
結「ふふ、それは待ち遠しいなぁ」
ユキさんの指先がゆっくり落ちてく球をなぞる。
ほんまに好きなんやろうなって伝わる横顔が綺麗で
しばらく黙って見惚れてた。
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「ユキさん、ご馳走様です」
結「いえいえ、洋服のお礼だから気にしないで」
お昼ご飯はユキさんにご馳走になって
腹ごなしついでに昼下がりの遊歩道をのんびりお散歩する。
なんか、えぇなぁ。
こんなえぇお天気の日にユキさんとデートしてるって。
俺、ほんまに世界一の幸せもんちゃう？
緩みっぱなしの頬を触ったらほんのり熱くて、
それを少し強めの風が冷ましてく。
「ユキさん、風で髪の毛すごいことなってんで(笑)」
結「あらら、ちょっとまとめようかな」
ばさばさってなった髪の毛をひとつにくくったら
緩い襟元が開いて、細い首が綺麗に見える。
その見えるかぎりぎりのところに1つだけ、
不自然な赤い痕が見えて。
「あ、」って声が出てまいそうやったんを慌てて押し殺す。
……それって、ソレやんな？
ユキさんの顔見ても気づいてへんのか
髪の毛まとめてすっきりした顔してるし、
反対に俺の気持ちはどんどん濁ってく。
え、今日タートルネックなんそういうことやったん？
寝坊したってウソ？
いや、ほんまに寝坊したんかも知れへんけど
ただ寝坊しただけちゃうんやない……？って
なんか、全部が怪しく思えてきて
今までの楽しい時間が台無しになりそうで、必死に首を振る。
もぉやめようや、そんなん考えるだけ虚しいもん。
今、目の前におるユキさんがすべてで
俺の知らんところでユキさんが何してようが、
そんなん俺がどうこう言えることちゃうし。
19にもなって嫉妬なんてみっともないって分かってる、
分かってんねん。
結「大晴くん？」
心配そうに覗いてきたユキさんの首元は
もうニットに隠れて見えへん。
けど、そこにソレがあるってことを知ってるのと知らんのでは大違いで。
「ユキさん。ソレ、誰からつけられたん？」
結「え？」
「ここ、キスマついてんで」
軽く教えてあげるつもりやったけど
そう言った自分の声は、情けないくらい動揺してた。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
