〇秋天は恋ひ日和。-Orange ページ42
・
「はぁ……」
大学近くのコンビニの駐車場でそわそわしながらスマホを見る。
10時ぴったり、もう来るかな？
車の窓ガラスで前髪を整えてたら
窓の向こうに待ってた人の姿が見えて心拍数がぎゅっと早なった。
「ユキさん、こっちです！」
結「大晴くん！遅くなってごめんね」
駆け寄ってきたユキさんの髪が靡いて
ふわっとシャンプーの匂いがする。
「全然！時間ピッタリ。
俺が早く着きすぎたんです(笑)」
結「本当？それは待たせちゃったね。
ちょっと寝坊しちゃって。
だから、メークも服装も適当で申し訳ない……」
「寝坊しちゃったん？
確かに今日めっちゃカジュアルやなぁって思ってたけど」
ネイビーのタートルネックにスキニーって
割とよぉ見てる格好なのに、今日はなんか色っぽい気がして。
なんでやろ？って首傾げてたら、
結「あのね、大晴くん」
なんて改まった顔するから
こっちも緊張して背を正す。
「なんですか？」
結「……ごめんなさい。
今日、誕生日だって知らなくて。
誕生日プレゼント用意できてないの」
「……知ってたん？今日、俺の誕生日って」
結「うん、……まぁ、」
「え、めっちゃ嬉しい！」
ほんまは、狙って誘ったけど
ユキさんが気ぃ使いそうやなって思ったから黙ってたのに。
どっかのタイミングでノリで言ってみて
「おめでとう」もらえたらラッキーぐらいに思ってたから、
素直に嬉しすぎて、はしゃぎたい気持ちを押さえて
ちょっとアピールしてみる。
「でも、今日ユキさんとデートできるんが
俺には1番のプレゼントやで？」
そしたらユキさんはいつもみたいに眉をさげて、
結「そう言ってくれるのは嬉しいけど。
大晴くんにはお世話になってるから、できればきちんと形にして贈りたいな」
そんなんでアピールはあっさり流されちゃったけど、
ユキさんのそういう律儀なところも好きやから
つい頬はにやけちゃう訳で。
「もうあかん！ユキさん行きましょ。
このままやったらお喋りして終わるわ(笑)」
照れた顔隠したくて車にそそくさ移動したら
「え、」って驚いたような声がする。
結「今日、車なんだね」
「そうやで？ユキさんにカッコえぇとこ見せたいなぁって思って(笑)」
なんてカッコつけて助手席のドア開けたら、
ユキさんはほんのり頬を赤くした。
結「……カッコつけなくても、ずっとカッコいいけどな」
え、待ってや。そんなん、ズルいって。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
