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横に並んでおかゆを食べる正門は
「うんま！」っていつもみたいににこにこしてて、
まるでさっきのことは聞いてないみたいに振舞ってくれるから
それはそれで複雑に感じる自分がめんどくさい。
良「ごちそーさまでした、美味しかったです」
「お粗末様でした。お茶椀洗っちゃうから薬飲んで寝てて？」
良「ごめんなぁ、何から何まで」
申し訳なさそうに眉をさげる正門を置いて
できるだけ無心でお茶碗を洗い終わったら
スマホが鳴った。
大晴くんユキさん、明日9時集合で大丈夫そうですか?
時間を確認したら、もう22時近くて
大晴くんに「大丈夫」って返信を打ちながら部屋に戻る。
良「洗いもんありがとぉな」
「いいよ。……そろそろ帰るね、明日もあるし」
良「……帰っちゃうん？」
「え、」
ベッドに寝転んでこっちを見上げる正門の目が、熱でうるうるしてる。
通知音が鳴ったスマホを握りしめて
返す言葉を考えてたら、
伸びてきた左手に腕を掴まれて、そのままベッドに引っ張られた。
ギリギリで腕をついたけど
熱い体温が肌で分かるくらい近くで、正門の視線に捕まって。
「正門、」
良「……なぁ。手、繋いで」
「手？」
良「俺が眠くなるまででえぇから、隣におって。
寝てもうたら、ポストに鍵入れて帰ってえぇから。
それまで、帰らんといて。A」
目の前で、名前を呼ばれて
きゅぅっと胸の奥が締まる。
ねぇ、ズルいよ。
どうして今、名前を呼んだの。
聞いたら、きっと戻れない質問を口に含んで
正門を見つめる。
馬乗りになった私の腰に正門が脚をかけたら
ゆっくり身体がベッドに倒されてくのを受け入れる。
シーツの上で目が合ったら
そのまま右手を恋人繋ぎして
正門が嬉しそうに笑った。
良「……目が覚めても、隣におってくれたらえぇのにな」
そう言って、繋いだ右手の甲にちゅ、と口づけを落とす。
「……おやすみ、正門。
目が覚めたら、熱がさがってるといいね」
とろんとした目を隠すように
汗で張り付いた前髪を撫でたら
「ふふ、」ってくすぐったそうに息を溢して
正門は目を瞑った。
荒かった呼吸は寝息に変わって、上下する身体を撫でたら足元の布団を被せる。
繋がれてない方の手でスマホを開いたら、
大晴くんから「OK!」ってかわいいスタンプが届いてた。
静かに息を吐いて新しいメッセージを打つ。
『ごめん、やっぱり10時でもいいかな？』
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
