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「なによ、『やっぱり』って」
結『ギターの音が聞こえるから。
正門って落ち着かない時は、嬉しくても悲しくても、
指でコード押さえる癖あるでしょ。
だから、もしかしたら寝てないんじゃないかなって』
「あらら、……バレちゃったや」
そんなら、ってアコギを軽く鳴らして答え合わせしたら
電話の向こうからくすくす笑う声が聞こえる。
結『あんまり気分よくないの？』
「そぉかも知れへん」
結『そっか。
でもできるだけ横になってた方がいいよ？
長引くともっときついから』
「そぉやな。
結城にバレてもうたし、大人しく横になっとくわ」
ギターをスタンドに立てかけてたら
『結城さん、ちょっといい？』って電話の向こうがざわざわする。
「あらごめん、取り込み中やった？」
結『ううん。
バイトの休憩中なんだけど、ちょっと呼ばれちゃった。
正門、ちゃんと寝てね？
無理しちゃだめだからね？』
「分かったって(笑)
ありがとうな、心配してくれて」
結『……当たり前でしょ、』
数拍置いて慎重に選ばれた言葉に
胸の奥がざらりとして、
「なぁ、結城、」
結『ん？どうかした？』
「……いや、なんでもあらへん。
お仕事頑張って」
結『うん、ありがとう。じゃあ』
電話が切れて暗くなった画面に
虚ろな顔した自分が写ってて、
身体中をぐちゃぐちゃかき回したみたいに
気持ち悪くて、
ベッドに倒れたら、そんまま目を閉じた。
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ピンポーン
次に起きたんは、チャイムの音がぼんやり聞こえたから。
周りはすっかり暗くなってて
重たい頭起こして目覚まし時計を見たら
20時を少し過ぎた頃で
寝過ぎたせいか、頭がギシギシしてる。
ピンポーン
「あ、……気のせいちゃうかったんや……」
髪の毛をぼさぼさ掻いたら
のっそりベッドから降りて玄関に行く。
ひんやりしたフローリングが足の裏に涼しい。
「はぁい、」
ガチャ、
不用心やけど確認も忘れて開けたドアの前には
何でかビックリしたみたいに結城が立ってた。
「え、……どうしたん？」
結「いや、不審がられるといけないと思って、
一応鳴らしてからノブにかけとこうと思ったら正門が出てきたから、」
「なにこれ？あ、差し入れ？」
結「そう、家に何もなかったらと思って。
もう大丈夫なの？」
眉をさげて顔を覗き込んでくる結城を見たら
何かが押さえられへんようになって、
つい華奢な肩を強く抱きしめてた。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
