キミに恋するワンシーン！第7章！ (ページ34)

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ゾクッと寒気がして目を開けたら

うっすら明るい玄関に転がってた。

ガンガンする頭に唸りながらスマホ見たら土曜の11時って

自分でもビックリするくらい寝てたらしく、

全身がバキバキするし、ぼーっとするしで最悪な気分のまんま

なんとか冷蔵庫にこじけんのゼリーつっこんで

着替えて体温計を探す。

やっとの思いで見つけた体温計を脇に挟んだら

すぐにぴぴって陽気な音がして、

「……あらら、」

38.5度、

立派な風邪やんな。

どうにかせな。

適当に風邪薬飲んで横になってみても

寝過ぎたせいか、しんどいせいか全然寝つけへんで

結局ベッドでアコギいじったりするから

もっと苦しくなるばっかりで。

「はぁ……、」

なんで今風邪ひいたんやろ。

ま、不摂生してたんは自覚あるけど。

もしかして、一昨日の子からもらったんかな？

いやちゃうな、あん子が鼻声なんは元々か。

じゃあその前の日の子とか？

あれは行きずり過ぎてもうどんな子やったか覚えてもない。

「はぁ……、」

思ったら一昨日の時点でしんどかったんやろうな。

身体が重くてちょっと雑にしてもうたら

あん子機嫌悪なってたし。

かわえぇけど、ちょっとしつこくなってきたから

そろそろお別れした方がええかも。

トーク画面探そうとしてアプリ開けたら

未読のトークが1件来てたことに気づく。

誰やろと思ってみたら、

結城正門、具合悪そうだったけど大丈夫?

「結城、」

その名前を呟いたら、

急に身体の奥がぐずって

なんかもう、それ以外は考えられへんくなって

気づいたら通話ボタンを押してた。

Prrr

Prrr

Prrr

出ぇへんかな、

そうよな。

土曜の昼やもんな。

そう理解ったら、ぐったり力が抜けてもうて

電話を切ろうとした。

結『もしもし』

「お、……でた」

電話越しにいつもの声がして

つい、声が出てまう。

結『もしもし？正門、聞こえる？』

「おぉ、聞こえてんで(笑)」

結『よかった。

　LINE既読がつかなかったから

　本当に体調悪いんじゃないかって心配してたの』

「ごめんなぁ。帰って気ぃ失ってもうて

　今測ったら8.5。立派な風邪です」

結『あらら、それはしんどいね。安静にしてないと』

「ちゃんと大人しく寝てるって(笑)」

結『……嘘つき』

唐突にそう言い放たれて

なんて答えたらえぇか分からん。

困った左手がギターのネックを握ったら

「やっぱり」って声がした。