〇I'll follow you.‐Red ページ4
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9月27日、午前8時55分
ポロン、
誠也くん下ついたで
「ふぅ……」
髪の毛よし、
メークよし、
お洋服よし、
ちょっぴり寝不足だし、顔もすごく緊張してるけど
気分もよし。
「行ってきます」
今も飾ってる、あの日のハーバリウムに手を合わせて部屋を出た。
エレベーターの降りるスピードが
今日はすごく早く感じる。
ポーン、
エントランスを出たら、
いつもの車が停まってて。
「誠也くん、」
誠「おん、おはよ」
ちょっとだけ素っ気ない誠也くんの隣の席に座る。
まだ眠いんかも。
誠「誕生日おめでとう」
「ありがとう、」
誠「もう19歳なんやな」
「まだ19歳って感じする」
誠「俺にとっては「もう」やで」
「ふふ、」
誠「じゃあ、行きますか」
「はぁい」
ゆっくりハンドルを切る誠也くんの左耳にピアスが揺れる。
「あ、つけてくれてる」
誠「そうやで？めっちゃ気に入ってるから」
「やったぁ、頑張って作ってよかった」
誠「センスえぇよな、ちゃんと俺が好きなやつやったから
普通にテンションあがったわ」
「ふふ、誠也くん歴長いもん」
誠「誠也くん歴ってなんやねん(笑)」
「誠也くんとの歴史？」
誠「そんなん言うたら俺なんて
Aが生まれた時から知ってんねんから俺の方が長いやん」
「うそぉ、絶対おぼえてない！」
誠「覚えてるわちゃんと(笑)」
「ほんまに？」
誠「ほんまに」
いつもより落ち着いた誠也くんの声は優しくて、
私は逆に落ち着かなくて。
そわそわしながら前を見たら
ダッシュボードの上に、これも見覚えがある置物が見える。
「あ、これも置いてくれてる」
誠「そこ殺風景やったからな」
「よかった。
実はね、私もそう思って買ったの(笑)」
誠「あ、そうなん？
大正解やんそしたら」
「誠也くんみたいやなぁって思って」
誠「このチワワ？
俺はAに似てんなぁって思うてたで。
そっちのちっちゃいの」
「そう？
私はそっちのかわいいのが誠也くんに似てるなぁって」
誠「なら2匹おるし、俺とAってことでえぇな(笑)」
「んふふ、そうしよっか(笑)」
穏やかにそんな話をしながら
眺める外は、雲ひとつない綺麗な青空。
「今日どこ行くの？」
誠「ん？……ついてからのお楽しみ、
とか言うとハードル高なるけどな」
「そうやね(笑)
でも楽しみ」
誠也くんとなら、きっとどこ行っても楽しいもん。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
