〇そんな自分が大嫌いで。-Purple ページ29
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よっしー小島先輩。
秋文祭のスケジュールが決まったのでお知らせします。
11月3日、場所は去年と同じで時間は14時頃になりそうです。
よろしければ、
「よろしければ、か」
ほんまは来てほしいクセに、見栄っ張りな自分に辟易とする。
このLINEだってもう5回は打ってるのに
肝心の送信ボタンは押せないまま。
部室の壁の隅っこでまたため息をつく。
だって分かってるもん、3日から小島先輩の大学の学園祭があるの。
初日の公演前なんて絶対抜けられへんから
多分、観に来れへんって分かってるから。
だから、送られへんだけ。
そう自分に言い聞かせてたら、
螢「よっしー、考え事？」
「ほたるちゃん、」
「部長さんは大変やなぁ」って隣に座ったら
私の好きなサイダーをさりげなく2本置いた。
「あ、ごめん。お金払うよ」
螢「えぇって(笑)
よっしー最近難しい顔してるから
うちからのプレゼントってことで！
それ飲んで秋文祭頑張ろ！」
「うん……、ありがとう」
ほたるちゃんの明るい笑顔は、まるでサイダーみたいに眩しくて。
ぐるぐる悩んでる私とは大違いやなって
乾いた笑みが漏れる。
螢「でも残念やったなぁ、
まさか部長たちの学祭の初日と被るなんて。
去年のリベンジ見せたかったのに」
「そうだね、」
螢「大晴先輩にも観に来てほしかったなぁ。
そしたらうちももっと気合い入るのになぁ」
「……そうだね、」
体育座りした膝の横で、握りしめる掌に爪が食い込む。
苦しいな、
罪悪感がずっと消えへんのも。
いつまで、ほたるちゃんに隠し事を続けなきゃいけないんだろう。
共犯やって言ってくれた小島先輩とも気まずくて
ますます気持ちに余裕がなくなってきて、
いっそ全部言うてしまおうかって投げやりな気持ちと、
そうやって楽になりたいだけの自分への嫌悪感で
ずっと気持ち悪い。
螢「よっしー？」
「え、……ごめん。なんか言った？」
螢「ううん、言うてへんけど。
めっちゃ怖い顔してたからうちが怒らせちゃったかなって。
大丈夫やで！
大晴先輩が見てなくても全力でお芝居するし！
うちがそんな生半可な気持ちで演劇やってないって
分かってるでしょ？」
「それは分かってるよ。
ほたるちゃんに怒って訳やないから、」
螢「じゃあどうしたん？」
心配そうに見てくるほたるちゃんの眼差しが辛くて、
「ううん、何でも、」
思わず顔を背けてしまった。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
