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振りかぶった拳が迫ってきて、
あかん殴られる！！
反応が遅れて咄嗟に横向いたら、
バシッ！
良「……傷害罪の現行犯、いや未遂か。ギリギリやけど」
思ってた衝撃は来なくてつぶってた目を開けたら
酒寄の拳をまっさんが握り潰してた。
酒「正門……ッ！！」
良「うちのかわえぇ後輩になんか用？」
酒「い、いた、痛たっ！」
良「なんか用？って聞いてんねんけど」
握られた酒寄の手が赤くなっていって
逃げようって暴れとるけど全然離れへん。
そう言えば、まっさんって握力強かったっけ。
―正門ぉ、その辺にしてやりやぁ。
次の試合でボール投げられんくなったら可哀そうやで(笑)―
まっさんの陰で分からんかったけど
隣におったんはさっき試合した映像研の鬼太郎さんで、
スマホを見せつけながら
わざとらしく「あっ」って。
―あかんなぁ、つい部活病で撮ってもうたわ。
今日は規律委員も監視に回ってるらしいし、
広報用ですぅ♪とか言うて渡したら
……どうなってまうんやろうなぁ？―
にこって八重歯を覗かせて笑う顔はかわえぇのに
声はまったく優しない。
嶺「まっ、こんだけ目撃者いたら十分規律委員の懲罰対象でしょ。
なんならどうとでも言い包められるけど？
俺、そういうの大得意だし」
涼「ねぇ、お兄さん学部教えてよ♪
危ない人がいるんなら、
俺もお友達に色々教えてあげないとだしさぁ？」
酒「く、くそ……、覚えとけや！！」
やっすいドラマの小悪党みたいな捨て台詞吐いて
逃げてった酒寄を睨みつけてたら、
結「……本当にごめんなさい」
ユキさんが深く頭をさげる。
「え、なんでユキさんが謝るん？
ユキさん何も悪いことしてへんやん」
結「でも、みんなに迷惑かけちゃったから、」
「迷惑とか俺らそんなん、」
そんな言葉が欲しくてやった訳ちゃうのに。
良「結城、」
まっさんが唇噛みしめるユキさんの頬に手を添えて、
良「今は『ごめんなさい』やのうて、
『ありがとう』って言うてや、な？」
骨張った親指が唇をなぞったら
噛みしめたところがゆっくり解けてく。
「……ありがとう、助けてくれて」
そう言ってユキさんが微笑んで、
ちらっと見てみたら男子全員おんなじ表情してるから、
なんか可笑しくて。
やっぱカオスやな、この状況。
―次の対戦はローラースケート愛好会『jets』対軽音サークル『侍魂』です。
代表の方は、……―
・→←〇Slapstick Drama(後編)-Orange
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
