◆ツレと、熱と、恋問答。 ページ22
・side.Yoshinori
「はぁ、あっつぅ……」
ここ、全然空調効かへんのやなぁ。
演劇部で固まってる応援席で
スポドリ一気飲みしながらだらだらな汗拭いとったら、
？「こんにちはぁ、負けてもうた正門くん♪」
「あーこんにちわぁ、たまたま勝った映像研の西畑くん」
大「アホ、たまたまちゃうわ(笑)」
よいしょ、ってベンチ横の通路に座る大吾とは
学科が一緒やから授業が被ることも多くて
いつの間にか仲ようなってた所謂ツレみたいな間柄。
大「いやぁ、今年も盛り上がってんなぁ。
うちの子らもよぅカメラ回しとるわ」
「大吾は行かなくてよかったん？
去年は『広報用の映像頼まれとるから』って
カメラ持って走り回ってたやん」
大「まぁな？でも今年はもう後輩ちゃんに任せたから
西畑ははお暇させてもろてます(笑)」
「あ、部内再編終わったん？」
大「この間よーやく。
色々大変やったけど、おかげさまで無事部長になれたわ」
「おめでとう、お疲れさん。
これで映像研はますます映像狂いになってくな。
部員さんらついてくの必死やで」
大「ふん、そんなん気にする余裕ないわ。
本気でやりたいやつだけついて来ればえぇし」
鬼太郎の半ズボンから通路に足投げ出して
そう言い放つ大吾の熱量は
理解もできるし、好きなとこでもあるけど。
「まぁ、ほどほどにしときや？
突っ走ったらまたぶっ倒れるで」
大「はいはい。お互いほどほどに部長頑張ろな？正門」
「おう、」
静かな熱を交わすようにグータッチしたら
大吾のまんまるい目が今度は楽しそうに見てくる。
大「ところで正門、そのえっらい豪奢なおべべは
どっから引っ張ってきたん？」
「おべべ言うな(笑)
言っとくけど、うちの子のオートクチュールやねんで？」
大「ほぉぉ、正門のための一点もんか。
もったいないな、ビニール袋でえぇんちゃう？」
「コイツほんまに(笑)
1か月かけてわざわざ作ってくれたもんに
なんちゅーこと言うねん！」
大「えっ、そんなかかってるん！？
気合い入った衣装やなとは思っとったけど、
それはそれは」
興味深そうに打掛けを触ったりしてた大吾が
「なぁ」って口を開く。
大「これ誰が作ったん？」
「あぁ、あっこにおるやろ。
うさぎの着ぐるみ着てる小っちゃい。あん子やで」
大「ははぁん、あの子か」
ひょっこり顔出してエリーちゃんを見つけたらしい大吾が
にっと八重歯を覗かせた。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
