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「え、」
私の身体を挟むようにテーブルに正門先輩が手をついてて、
状況が理解できなくて振り返ろうとしたら、
良「こんにちは、俺の声聞こえてる？」
「こ、んにちは……？」
振り返りきる前に正門先輩と超至近距離で目があった。
あ、私、正門先輩とテーブルに挟まれたんだって
妙に冷静に状況を理解する。
背が低い私を覗き込むように近づいてくる正門先輩は
ちょっとだけご機嫌ななめみたいで。
良「さっきから1人でニヤニヤして楽しんどるようやけど、
俺の質問には答えてくれへんの？」
「え、何の質問、」
良「この恰好、似合うてる？」
「え、あ、それは、」
こんな吐息がかかるような距離でそう聞かれたら
唇が震えてうまく言葉が出てこない。
きりっと整った眉がきゅっと寄って
また少し正門先輩が近づく。
良「似合うてへん？
悲しいなぁ、俺はめっちゃ気に入ってんのに」
「いや、全然そんな、」
良「なら言うてみてよ、『正門先輩、カッコイイです』って」
「えっ」
良「思うてへんなら言わんでもえぇけど、」
そ、そんなのイジワルだよ。
言える訳ないよ、私、だって、
良「エリーちゃん。ほら、言うてみ」
机にじわじわ押しつけられるように迫ってくる正門先輩。
どうしよう、このままじゃ
キス、しちゃうかも。
良「ほら、」
そんな、ムリだよ。
良「えぇの？」
恥ずかしいよ。
良「ちゃんと言えたらご褒美あげんで？」
「え……？」
“ご褒美”
目の前にある綺麗な唇に視線を吸い寄せられる。
良「言われへん？」
「……ま、正門先輩」
良「ん？」
甘くとろけそうな目を見つめられたら
魔法にかかったように唇が動く。
「……カッコいい、です」
多分、心の底からの本音だった。
良「……ふふ、ありがとぉ。
これでよぉやく安心してこのお洋服着れるわ」
「あ、あの先輩」
良「んー？」
「ご褒美って……なんですか」
良「ん？……どうしよっか、」
唇から目が離せない私に気づいてるみたいに
艶やかに微笑んで袖で口元を隠す。
良「エリーちゃんは何してほしいん？
ちゃんと言えたら何でもしてあげんで」
正門先輩のイジワル。
絶対分かってるもん。
なのに、わざと私の口からソレをねだるように仕向けて、
だけどどうしよう。
このまま流されちゃいたい、なんて、
「……正門先輩、」
ガチャ、
リ「……あ。邪魔したわ。ごめん」
バタン、
えっ？
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
