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「正門先輩は首筋が綺麗なので
襟元を広く開けて首元が見えるようにしてみました。
上半身は肌の色味的にも白をベースにしてお顔が引き立つようにして。
すっきりまとめてもよかったんですけど、
せっかくなら華やかな衣装も見てみたいなぁって
打掛けを着流すイメージで上着を作ってたら、
あ、それなら下はボリュームがある袴がいいな！って思って、
それで上の色が明るいので紫で締めたらカッコよくって！」
良「ふふっ、めっちゃこだわってくれてんねんなぁ(笑)」
「……あっ、」
にこにこしながら聞いてくれてる正門先輩と目が合って、
きゅぅぅぅ、と熱が下がってく。
ま、またぺらぺらと聞かれてもないことを……！
「ご、ごめんなさい！
こんな気持ち悪い話しちゃって、」
良「え、どこが？
むしろ俺のためにそこまでしてくれてって
感動すらしてんねんけど」
けろっとそう言って正門先輩が衣装を撫でる。
良「俺が急に「10月頭までに」なんて言うてもうたから
正直何がきても有難いとは思っとったけど、
こんな綺麗なお洋服仕立ててもらったら
そら惚れてまうよな」
「ほ、惚れ、」
良「一目惚れしてまいそう」
「えっ、」
まっすぐこっちを向いた先輩が微笑むから
心臓が痛いくらいきゅうきゅうする。
どうしよう、息ができない。
良「一目惚れしちゃった。
この衣装、さっそく着てみてもえぇ？」
「え。……あ、あぁはい！どうぞ！」
ワンテンポ遅れてから正門先輩に衣装を押しつけたら
背中を向けて冷静に状況整理。
何を期待してるんだろう私は。
「一目惚れ」なんてワード聞いて、勝手に浮かれちゃって。
そんな可能性万に一つもある訳ないのに。
あぁ、だめだめ落ち着かなきゃ。
正門先輩に見てもらうだけでもドキドキしてるのに
本当に着てくれる。
しかも役衣装とかじゃなくて、
“正門先輩ファンによる欲望の詰め合わせパック”
みたいな衣装を着てくれるなんて
絶対冷静でいられる訳がないけれど、でも！！
良「あれ、ここどうなってんねやろ？
なぁ、エリーちゃん」
「はい、何でしょ、きゃぁぁ！！」
良「え？あ、ごめん。
脱いでもうてたの忘れてた」
普通に振り返ったら正面に黒いタンクトップ姿の先輩がいて
咄嗟に目を塞いでしゃがみこむ。
もうだめ、致死量超えてる。
限界！
気を付けてほしいところを早口で説明したら
猛ダッシュで部室の外に逃走した。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
