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誠也くんの顔が見たくて
胸元から顔をちょっとだけあげたら
身長差がない誠也くんの顔はすぐ近くにあって。
見つめ合うだけで、胸がきゅんきゅんしてうるさい。
誠「A、キスしてえぇ？」
「……さっきは、いきなりしたのに」
誠「あれは言うたやん、「我慢できひんかった」って(笑)
やから改めて、彼女になってくれたAに
キスしてえぇ？」
「……うん、」
ちゃんと宣言されたら恥ずかしくて、
唇をきゅっと結んで目を閉じる。
なのに、いつまでもその感触はしなくて。
あれ、って目を開けたら
目の前にいた誠也くんは、大好きな笑顔で、
誠「好きやで、A」
「あっ、んん、！」
不意打ちで重ねられた唇に熱くて、
指先がぴりぴりする。
誠也くんの手がそっと頭の後ろに回って
ゆっくり髪の毛を撫でるから
幸せ過ぎて、涙が零れそうで目を閉じた。
さっきより長めのキスで
誠也くんの唇の柔らかさを憶える。
ちゅ、って音を立てて離れたのがくすぐったくて
目が合わせられない。
誠「ふは(笑)……かわえぇ」
「は、初めてなんだもん、笑わんといて」
誠「初めてちゃうで、これで2回目」
「えっ」
誠「まぁ、まだA幼稚園やったしな。
憶えてへんのも当たり前やけど」
「やから、俺の初ちゅーはAなんやで」って
照れくさそうに笑ってる誠也くんがかわいくて、
嬉しくて、さっきまでキスしてた唇に触る。
そうやったんや、
誠「よし、写真撮ろや！
夕陽も秋桜もいれて映えるの撮ろ」
「うん！」
逆光とか画角とかぐるぐるしながら探して
やっといいアングルが見つかって2人で寄り添う。
カシャ！
満開の秋桜と、誠也くんと私の満面の笑顔が1枚の写真に残る。
誠「これも後で送るな」
「うん、待ってるね」
誠「じゃあ、帰るか。
暗なってきたし」
「うん……」
誠「どうしたん？」
「なんか、幸せ過ぎてまだ帰りたくない」
誠「めっちゃかわえぇこと言うやん(笑)
また来年、2人で来ような。秋桜見に」
「……うん、」
“また来年”
誠也くんがそう言うんなら、きっと来年も来れるんだろうな。
来年も、その次の年も、ずっと。
2人でいれたらいいな。
誠「A、おいで」
来た道をゆっくり、隣に並んで歩く。
恋人繋ぎをする指にはめた指輪をなぞる誠也くんの指がくすぐったくて
唇を尖らせてたら
誠也くんと目があって、
手を引かれて
もう一度キスをした。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
