◆狂犬様はセンチメンタル ページ1
・side.Richard
―えー、今から学園祭のブースについて
各団体の割り振りを発表しまぁす―
ただの発表やのにお祭り騒ぎの教室は今年も狭すぎる。
あぁ、うちの部長様めっちゃご機嫌ななめやん。
ただでさえ小っさいから前見えてへんのに。
黒板かち割るんちゃうかって剣幕で睨み飛ばしてる末澤の肩を叩いたら
「あ？」って、おぉこわこわ。
「顔、なんとかして」
誠「あ、すまん」
眉間を揉む末澤を待って、人混み掻き分けて割振表に近づく。
なんせ団体が多いから
希望するところはみんな被りがちやけど、
ホール棟のタイスケ見たら、そこには「演劇部」の文字がちゃんとあって。
誠「よっしゃ、ちゃんと取れてる！4日間とも」
「お、しかも今年昼にホール使うん2団体だけやん。
しかも中日。初日と最終日は貸切りや」
誠「それはマジで助かる！」
「やったなぁ、
去年集客よかったから待遇あがったんちゃうん？末様」
誠「末様やめろ」
毎年この発表の時は要望が通らなかったとかで
実行委員と団体がバチバチに揉めるんが恒例行事やけど、
俺らは大満足の結果になったから
やんや揉めてる他所さんを横目に
書類を受け取って部室に戻る。
誠「映像研とか美術とか毎年やってるところは割といつも通りやったな。
演劇系サークルとかもっとバトると思うてたけど」
「あ、やから今日そんなに眼力鋭いん？」
誠「は？そんな人相悪ないやろ(笑)」
「いや、マジで人殺る顔しとったで」
誠「え、」
「マジか」って顔触ってるけど、いやこっちが「マジか」やん。
自覚なくてあれ？
ヤバすぎるって。
誠「もぉ、あかんあかん。
そんな顔見せられへん……」
「誰に？」
かわいくほっぺとか摘まんでるけど
え、ちょっと怖い怖い。
誠「……リチャ、俺明日一日連絡つかへんから。
なんかあったらLINE送っといてな。
うまくいけば夜には返す」
「うまく行けばって何よ。行かへんかったらどうすんねん」
誠「……どうなるんやろ、分からへん」
ほぉ、そんなリアクションするってことは
つまり、あれか。
例の幼馴染ちゃん関係か。
ま、何かするつもりなんは分かったから
詳しくは聞かんと「分かった」とだけ返しておく。
誠「リチャ、……応援しといて」
「何を」
誠「色々」
応援してほしいくせにそれ言わへんのかい。
ワガママな奴やな。
そんなん言われんでも、こっちはずっと応援してる言うのに。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年11月4日 1時
