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★◆さぁ、開演。 ページ6

・side.Adacchi


―こちらに記名をお願いいたします―

「はい、」


受付で名前を書いてパンフレットをもらう。


「あの、これ。つまらないものですが皆さんでどうぞ」


買ってきたお菓子の袋を渡したら、

受付をしてくれた綺麗なお姉さんは目を丸くした。


―わざわざすみません、

 部員にお知り合いが?―

「あ、はい。

 せ、……末澤さんの幼馴染で」

―あら、部長の―


ちらっと視線を飛ばしたお姉さんを

慌てて止める。


「でも!今日は、その、

 こじけんと大晴くんと、エリーちゃんを観に来ました」

―そうですか。

 3人とも稽古頑張ってたので、ぜひ楽しんで行ってくださいね。

 お菓子、渡しておきます。阿立さんですね―

「はい、よろしくお願いします」


お菓子を受け取ってくれたお姉さんにお礼を言って

会場に入る。

誠也くんは多分今日も部長やしバタバタしてるから

終わってから連絡入れようって決めてて、

なるべくよく見える席に座ったら

パンフレットを開いた。


「うふふ、みんなかっこいいなぁ、」


こじけんの自己紹介、絶対カッコつけてる。

『生まれは北海道、育ちは沖縄県』って嘘やもん(笑)


「『初めての経験なので緊張してますが、

 優しい目で応援してください。

 噛んじゃっても笑っちゃだめやで!』って

 大晴くんかわいい」


写真も唇尖らせてて、アイドルみたい。


今回のお芝居は男の子4人が主役で

エリーちゃんは途中から出てくる“のっ子”っていう大事な役らしく、

挨拶も真面目に書いてある。

初めて会った時も、挨拶真面目やったもんなぁって

ついこの間のことなのに、もう懐かしい。


『夏バケ』終わったらお買い物行くもんね、って

すっかり仲良しになったエリーちゃんのこと考えてたら、


誠「凛、」


背中からこそっと大好きな声に名前を呼ばれて振り返る。


「誠也くん、」

誠「来とったんなら、声かけてや」

「ごめんなさい、でも邪魔したなくて」

誠「凛ならえぇよ。

 あ、ユキから聞いたわ。お菓子、ありがとうな」

「ううん、みんなで食べて」

誠「おん、ほんならまた後でな」


ぽんぽん、って頭を撫でてくれて

誠也くんは入り口に戻ってく。


ご飯食べる時に、『夏バケ』の感想

いっぱい話したいなぁ。


そう思ったらもっと楽しみになってきた。


ワクワクした気持ちで座りなおしたら、


ブゥー……


重低音がして、会場が暗転する。


いよいよ開演。

みんな、頑張って。

★〇心が鳴るのは(後編)-Purple→←★◆いざ、決戦。



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:マリア | 作成日時:2023年10月22日 2時

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