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「まっさんと、そういう関係なん?」



できるだけ普通にそう聞いた。


けど、沈黙に耐えられへんくて、雨もっと降ってって願う。


自分の脈拍で潰れそうなくらい、苦しくて。



結「最後までしたことは、ない」



雨の音が霞むくらい、ユキさんの声がはっきり聞き取れる。



結「でも。

 添い寝するだけの関係でも、ない」



その返事に、溜まってた息がゆっくり漏れてった。



そうやろうな、

分かってた。


それでも、この部屋でその事実を聞くのは

やっぱりショックで。


多分、今横見たら自分が抑えられへん気がしたから

天井を見上げたままシャツの裾を握りしめる。



「ちゅー、するん?」

結「……うん、」

「ハグも?」

結「……うん、」



聞きたくないことを一個ずつ確認して、そのたんびに傷ついて。


それでも。



「なんで、まっさんと付き合わへんの?」


結「……私は、正門に優しさに甘えてるだけ、

 正門は、私に付き合ってくれてるだけだから」



その言葉の意味はきっと

2人しか分からへんことやけど、

そう言ったユキさんは

確かに寂しそうな声してたから。


右手を伸ばして細い手を探し出したら

指先を絡めてぎゅっと握る。



「自分を、大事にしてほしいです」

結「大晴くん、」

「ユキさん優しいから。

 この間みたいなんがあったら心配になる」

結「……ごめん」

「なんかあったら言うてほしいんよ。

 悲しいことも、嬉しいことも、

 全部受け止めたいから」


結「……どうして、そんなに優しくしてくれるの」


指先に少しだけ力がこもった。



「……まだ、内緒。

 それはちゃんと言いたいんで」



やから今は、言葉よりもっと手を繋いでたい。

隣にある体温が、伝わるように。



結「大晴くん、」

「なに?」

結「もう少しだけ、手、繋いでてもいい?」

「うん、」

結「本当は、あんまり台風得意じゃなくて、」

「そうなん?

 ……初耳やった」


絡めた指をそっとなぞったら

くすぐったそうにユキさんが息を漏らす。


「起きたら雨止んでたらえぇのに」

結「うん、」

「何時に起きよ、デートおじゃんやし暇やなぁ」

結「じゃあ、ずっと寝てようか」

「ふふ、それもあり(笑)」


そんな話してたらいつの間にかひそひそ声は寝息に変わってて。

隣を見たら、ユキさんの綺麗な寝顔はこっちを向いてた。


嬉しくて、そっと手の甲にキスを落とす。



「おやすみなさい、ユキさん」


大好きやで。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:マリア | 作成日時:2023年10月22日 2時

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