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結「頭拭いたらそのままお風呂場に行ってね。
今、お風呂溜めてるから」
「え、それはあかんよ！ユキさん先に入ってくれな」
結「だめ、お客さん優先」
「あかん、ユキさんが絶対先」
一歩も譲ってくれへんユキさんに
つい意地張ってもうて、
「やったら2人で入る？」
結「えっ？」
口滑らせた瞬間、「あ」って自分で口塞いだ。
え、ちょっと待ってや。何言うてんねん俺！
顔に残りの体温全部集まったみたいに
熱くて、恥ずかしくて、
ユキさんの顔なんか見れへんくて、
「お、お先失礼しますっ！」
タオルで顔をすっぽり隠してお風呂場に飛びこんだ。
そっこー閉めたドアにもたれかかって
はぁぁ、ってでっかい溜息つく。
「あかん、テンパっちゃった……」
絶対引かれてる！
ナンパな男やって思われた、サイアクや！
ガックリして洗面台に手をついたら
鏡には濡れた犬みたいな顔してる自分が写っとってもう泣きそう。
ってか流れでユキさん家の風呂入ってもうてるけど
こんなんもっとドキドキ案件なはずやろ。
あんまジロジロ見んのも失礼な気ぃするから
チラッて見回してみたら、
「あ、」
薄紫と青色の歯ブラシセットが置いてあるん見つけちゃって。
……兄妹の、とか？
いや、ユキさんひとりっ子や言うてたよな。
おとん、は流石にないやろ。
ってなるとやっぱそーゆーこと、やんな……？
よく見たら足元にも女の子っぽいシャンプーとは別に
普通に男物のシャンプー置いてあるし。
「……めっちゃ生々しいやん、」
こんなん来て早々に負うダメージちゃうやろ、って
めちゃめちゃ落ち込んでまうけど
今はそれどころちゃうくて。
ユキさん待ってるからはよ風呂入らなって服脱いでたら、
トントン、
結「大晴くん、着替えどうする？」
擦りガラス越しにユキさんのシルエットが映る。
「あ、なんかあります？
俺なんも持ってきてないんで、
もしなかったらバスタオルとかでも、」
結「うーん……、ちょっと探してみるね」
あーぁ、悩ましげに離れてった足音にすらニヤけるん、
俺、ちょっとヤバいよな。
けど探すって言うても
ユキさんの服とか絶対入らんけど大丈夫なんかな？
そんな疑問は10分後にサイアクな形で解決することになって、
「ユキさぁん、お風呂あがりました」
結「あ、服入った？」
「一応、まぁ、」
バチバチに見覚えあるTシャツとスウェット。
……これ絶対まっさんのやんけ。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
