★◆いざ、決戦。 ページ5
・side.Ellie
カタカタカタ、
どうしよう。
指先の震えが止まらない。
擦っても握ってもふるふるする冷たい手。
どうしよう。
台詞の確認したいのに、動きのおさらいしたいのに。
早く止めなきゃ。止めなきゃ。
控室の端っこに蹲って
必死に震えを抑えようとしてたら、
バシッ！！
「ひゃっ！！」
肩を強く叩かれてびっくりして顔をあげたら
こじけんくんが真上から私を見下ろしてた。
「こじけんくん、」
健「なに、俺の顔がイケメン過ぎて見惚れてるん？」
「え？えっと、」
どうしよう。
見惚れてるかは別として確かにカッコいいとは思ったけど、
こういう時って「うん」って答えるのが正解なんでしょうか……？
健「おい、悩み全部口に出てんねん(笑)
そこは素直に「うん、イケメン♡」って言うとけ(笑)」
「いや、イケメンとは」
健「なんやとぉ？」
「すみません！」
悪い顔して覗き込んでくるこじけんくんから
通称“「イケメン」のカツアゲ”に遭って
気付いたら壁ドンされてて。
あれ、今本番前なんだよね？
なんで、こじけんくんと至近距離で見つめ合ってるんだろう……？
健「震え、止まった？」
「え、」
その言葉でハッ！と自分の手を見たら、
いつの間にか震えは止まってた。
「分かってたの……？」
健「まぁ、似たよーな緊張するヤツ知っとるからな」
「こじけんくん……。ありがとう」
健「おん、イケメンって言うてくれてえぇで」
「い、いけめん」
健「全然心こもってないやん(笑)」
はは！って明るく笑ったこじけんくんは
ぐしゃぐしゃって私の髪を撫でて
今度は大晴くんのところに。
健「たいせー、緊張してるんちゃうん？」
大「うるさ！お前やって緊張してるくせに！」
―みんなそうやろ！―
―僕も緊張してる―
そう言いあってたのが気づいたらいつものおふざけに変わってて。
本当にみんな緊張してるんだよね……？
なんてくすくす笑ってたら、
大「よし、1年だけで円陣やろや！」
大晴くんが「ほら！」って出した手の上に
「しゃあないなぁ」って言いながらみんなの手が重なってく。
目を合わせた同期の顔はみんな頼もしくて、ワクワクしてて。
大「よぉーし、1年気合い入れてこうぜぇー！行くぞー！！」
―しゃぁぁっ！！―
―開演5分前ー、袖に入って！―
健「よっしゃ、みんないくで！」
「うん！」
大丈夫、きっとうまくいく。
そんな確信めいた予感がした。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
