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とは言え一応こじけんには感謝せなあかんし
ウインクめっちゃ飛ばしてくるんをちょっとだけ睨みつけとったら、
結「それなら、私の家に来る？」
「えっ、えぇんですか！？」
目が合ったこじけんもめっちゃガクガク頷いてる。
結「広い部屋じゃないしここから15分くらいかかるから
その間に多分、濡れちゃうと思うけど。
それでもよかったら、」
「全っ然大丈夫です！
廊下でもベランダでも泊めてくれるんやったら！」
健「ベランダってもはや雨宿りの意味ないんちゃう？」
こじけんのツッコミも右から左で、
渡りに船どころか願ってもない急展開に
あかん、心臓急にバクバクしてきた。
「マジで何でも手伝います！料理でも風呂掃除でも、」
結「いいよ、大晴くんはお客さんなんだから(笑)
あ、これを手伝ってもらえると助かるけど」
にこやかに笑いながら差し出されたんは
『ドローリング。』の脚本で、
結「正門から『中盤の色んな設定が入り乱れるとこで
もうひとくだりあるのはどう？』って提案もらってて、
一緒に考えてくれないかなぁって」
「それはもちろん、ってかむしろ一緒にやらせてくださいよ(笑)
そんな下手に出られる方がいやや、
『ドローリング。』は2人で作った脚本やのに」
俺の返事に「よかった」って微笑むユキさんは、
絶対さっきより明らかに唇の色悪なってるから、
「なら早く行きましょ、ユキさん。
今なら雨も小降りになってるし。
このままやったらユキさん風邪引きますよ？」
結「え、でも必要なものとかないの？
着替えとかあまりないけど」
「そんなんよりユキさん優先やから！
ほら急いで！はいレッツゴー！」
結「待って、大晴くん濡れちゃう」
「あ、まっさんの上着返しますね」
良「あ、はいはい」
これ以上の長居は絶対よくないって
肩をがっつり捕まえてさっさと連れ出す。
良「気ぃつけてなぁ」
健「たいせー、色々頑張れよー」
能天気なこじけんとまっさんの声に見送られて、
17時前なのにもう薄暗い廊下を速足に進む。
服越しでも分かるくらいユキさんの身体は冷きってて。
「ユキさん、早く帰って温まりましょうね？」
結「うん、」
これ以上冷えへんようにせめて、と華奢な肩をずっと摩ってた。
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健「まっさん、なんちゅう顔してんねん」
良「ん？どんな顔やろなぁ」
健「余裕ぶっこいてたら、先越されんで？」
良「はは、……そうかも知れへんなぁ」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
