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ガチャ、
ドアが開く音がして後ろ振り返ったら、
結「お疲れ……ってあれ、みんなまだ帰ってなかったんだ？」
健「えっ、ユキさんびしょ濡れやないっすか！」
髪も服もぴったり肌にくっつけたユキさんが寒そうに立ってて。
良「派手にやったなぁ。大丈夫？結城」
まっさんが笑いながら自分のジャケット脱いで
ユキさんの肩にかけてる。
うわ、しくった。なんで俺今日パーカーやねん。
結「机の横に傘をおいてたはずなんだけど、
課題提出して戻ったらなくなってたんだよね(苦笑)」
健「はぁ？そんなモラルないヤツがうちの大学におんねや」
良「ろくなヤツちゃうな。
そん傘今頃、結城の敵とって
ソイツのことびしょ濡れにしとるに違いないわ。やから元気だし？」
健「ついでに傘の怨念で風邪も引かせときますんで、ご安心ください」
結「ふふ、ありがとうふたりとも」
目を細めて笑うユキさんの髪からぽたりと雨が伝う。
良「でも、なんでそんな状況でわざわざ部室棟まで来たん？」
ハンカチでユキさんの髪を拭いてあげながら
まっさんが眉をさげる。
結「どうせ明日まで休講でやることないし
正門と話してた中盤のとこでも考えようかなぁと思ったら
部室にメモを置きっぱなしだったから、ほら」
良「あぁ、これか。
けど言うてくれたら写真撮ってLINEにでも送ったのに」
結「いいの、ついでに傘あれば借りたいなぁって思ってたから。
まぁ、こんなに濡れちゃったらもう意味ないかもだけど(苦笑)」
良「そらそうやけど、」
「あの、ユキさんっ！」
結「ん？どうした？大晴くん」
「あ、そのぉ……」
まっさんとイチャついてるとこに割り込んだんはえぇけど、
確か、大学からお家近かったですよね？
よかったら今晩泊めてくれませんか？
なんて、やっぱハードル高いよなぁ……。
絶対警戒されるやん、どうしよ。
健「ユキさん、たいせーのおつらーい話聞いたってくれません？」
結「え？」
健「コイツ5限あったのに、
センセが電車止まってから休講通知出したみたいで
お家に帰られへんのですぅ。
俺もまっさんももう人泊める約束しとってん、
このままやったらこの侘しぃ部室に泊らなあかんらしくて。
可哀想でしょ？」
結「あらら、そうなの？大晴くん」
「まぁ、はい……」
わざとらしい関西弁はギリナイスアシストってことにしとくけど、
そのウインクやめろやこじけん！
なんかめっちゃイヤや！
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
