〇キンキューセッキンチューイホウ-Orange ページ37
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部活棟の窓が雨と風がぶつかる音でガタガタ言うてる。
じめじめする廊下を足早にすれ違う人らも、
今の俺とおんなじくらい焦った顔してて。
「うん、あ、だめ？分かったそっちも気ぃつけて、じゃ」
ちょっと雑めに電話切ったんはこの際許してほしい、
今マジでピンチやねんから！
「あぁ、もうガチでヤバいかも、」
9月下旬やで？
そんなんどうせ逸れるやろ、とかいって舐めてたら
ほんまにでかめの台風が接近するとかで
夕方になって急に電車が止まったり、臨時休講になったりで
大学中がパニック状態。
あーもうっ、あの阿呆センセ！
なんで列車運休になってから休講通知出すねん！
ふつー考えればわかるやろ！
帰宅難民のこと考えろ！
ひどなってきた雨風のせいで自転車に乗る訳にもいかへんし、
泊めてくれる人探して電話かけまくってるけど
どうも明日の昼までが最接近とかで、
もう他の人泊めてるか、一緒に困ってるかどっちか。
これ最悪部室に一晩くらい泊まれへんかな……、とか思いながら
誰かいること願って部室に行ってみることにしてんけど。
ガチャ、
良「あれ、大晴？」
健「おぉ、たいせーお前まだ帰ってなかったん？」
「あ、まっさんとこじけんやん！
いや、ちゃうねん！
あの阿呆セン、列車運休してから休講通知出しよってん！
頭悪すぎるやろ」
健「うわぁ、センセそれは学生の事情分かってへんわ(笑)」
良「やられたなぁ(笑)」
外の叩きつけるような雨がウソみたいに
のーんびり話してるこじけんとまっさん。
え、待って、2人とも家近いやん！超ラッキー！
「ってことでこじけん、家泊めてくれへん？」
健「まぁそうくるやろうなぁとは思うてんけど(笑)
すまん大晴、俺ん家もう定員オーバーやねん」
「え、誰か来るん？」
健「そぉそぉ、阿南坊と恩ちゃんからお助けLINE来て
ここで待ち合わせ中」
「ならそこに俺も入れて同期4人で仲良くお泊り会でもえぇやん」
健「いやどう考えても定員オーバーやろ(笑)
うちの6畳一間に男4人は入らんわ。
まっさんの部屋に泊めさしてもらえば？」
「えぇー、まっさん……」
まっさんかぁって目を向けたら
「おい！」って笑いながら軽く叩かれる。
良「なんやねんその嫌そうな顔は(笑)
残念やけど、俺ん家も予約でいっぱいですぅ」
「はぁ、マジかぁ……」
あかんやん。
このままじゃほんまに部室に一泊ルートかもしれへん。
え、どうしよう。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
