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シンプルなイントロに乗る正門先輩の歌声は、
想像してたよりずっと力強くて、
でもいつも通り甘くて。
歌の歌詞と、
正門先輩の歌声と、
小学生の時の胸のときめきと、
今日の舞台と、
なんか、全部全部が一気にぶわぁと込み上げてきて
自然とまた涙が流れてた。
恩「エリーちゃん、大丈夫？」
「うん、大丈夫。
多分、……嬉しいだけだから」
うまくは言えないけど、絶対、嫌な感情じゃないから。
誠「何気ないー言葉がぁ♪」
にこにこしながら聞いてた誠也先輩が
もう1つのマイクを握って
こじけんくんと一緒に歌い出したら
3人の声は気持ちよく重なってく。
ガチャ、
大「おっ！何歌ってるん？」
織「これは『リリック』かな？」
大「あぁ！俺も知ってる！」
タンパリン片手に様子を見に来た大晴くんとオリバー先輩も
曲を知ってるみたいですぐ歌い始めて、
廊下に漏れた音に他の先輩たちも集まってきて、
気付いたら1部屋に集まって大合唱になってた。
良「ひーとはぁ、それを、愛と呼ぶのかなぁ……♪」
ハスキーだけど力強く最後のサビを歌いきって
アウトロが終わったら、
自然とみんな拍手してて。
大「ふぅー！！最高！！演劇部サイコーや！」
健「ははは(笑)何で全員集合してん？」
阿「声聞こえてきたんやからしゃーないやん(笑)」
誠「ふぅぅぅ！！」
ハイタッチしたり肩組んだり、
これって所謂深夜のハイテンションなんだろうけど
でも、大晴くんの言葉を借りたら
「最高」に楽しくて、涙はとっくに乾いていて、
代わりにずっと笑顔が止まらなくて。
本当に演劇部に入って、よかった。
辞めなくて、本当によかった。
そう思ってたら、
良「はぁ、いつの間にやら大合唱になってたな(笑)」
隣に座り込んだ正門先輩が
私を見て、少し目を開いて
良「……お疲れ様、」
優しく微笑んで、そっと頭を撫でた。
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誠「いやぁぁ、こじまぁいかんといてぇぇ！」
健「俺も嫌やってぇ！」
カラオケの前で組んずほ解れつしてるこじけんくんと誠也くんを横目に
みんなはしれっと解散して、
大「エリー、また水曜な！」
「うん、大晴くん気をつけてね！」
大「おん！おやすみ」
自転車に乗ってった大晴くんも見送ったし、
そろそろ私も帰ろうかな。
このままだとこじけんくんに巻き込まれそうだしって
こっそりお先にお暇しようとしたら
良「こら、」
歩き出そうとした腕をぐいっと掴まれた。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
