★〇ときめきとエピローグ‐Blue ページ22
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最初の拍手の音は、すごくハッキリ聞こえた。
会場を震わすように大きくなっていく音を聞きながら、
あぁ、……終わった。
そう、心の中で呟いたら
まぶたが急に熱くなった。
だめだめ、まだ最後の挨拶があるのに。
そう思っても涙はどんどん溢れてきて、
拭っても拭っても止まらない。
健「エリー、泣き止んでくれよぉ」
大「え、泣いてるん？」
こじけんくんと大晴くんが笑いながらこっちを見てるから
もっと胸がいっぱいになって。
「うぅ、ふぇぇぇ……」
健「え、もっと泣かせちゃった」
大「あかんやん」
健「よし、たいせー一発ギャグやろ」
大「やれるか(笑)
ってかヤバい、エリー泣いたら俺までもらい泣きしそう」
健「え、ムリムリ。
上手出てきたら2人泣いてるとかあかんよ。
俺が薄情者みたいやんか」
大「じゃあこじけんも泣けっ(笑)」
健「嘘やろ、ちょ、
織「持ってる訳がない(笑)」
―おい、下手が困ってんだろーが。
お前ら早く行け(笑)―
先輩から笑いながら背中を押されて
涙は止まらないけどそのまま舞台に出る。
私達が出て行ったらもっと大きくなる拍手は
まるで花びらが降ってくるように暖かくて、
観客席の１つ１つを、目に焼きつけるように見回した。
あ。
一番後ろの席のその後ろに立って
大きく拍手してくれる、正門先輩が見える。
―頑張れ、頑張れって
俺、明日も明後日もずっとそう思ってるで―
正門先輩。
私、頑張れてましたか？
声も上擦ってたし、
緊張して身体もガチガチだったけど、
今はとっても、やりきったなって思ってます。
寂しいなとすら、思ってます。
それはきっと、
悩んで、もがいて、それでも諦めなかったからであって
私ひとりじゃ、きっととっくに諦めてて。
正門先輩がいたから、
今、この景色を見れたんだって、そう思うから。
一筋、流れていった涙を拭いて笑ってみせる。
遠くにいるのに、正門先輩が笑ってくれたのがちゃんと分かった。
健「……僕らの『夏バケ』は、以上で終演となります。
ご来場いただきまして
本当に、ありがとうございました！」
「「ありがとうございましたーっ！！」」
キラキラと輝くスポットライトと、大きな拍手を受けながら
深くお辞儀をする。
少しだけでいい。
正門先輩の目に映る今日の私の姿が
いつもより少しだけ輝いて見えていたら、いいな。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
