★◆一夏のモノローグ ページ21
・side.Taisei
健「よっしゃぁ、ラスト行くぞー！！」
―おぉぉぉ！―
『夏バケ』最後の円陣が終わって
先輩らが持ち場につく。
もう終わりなんやな。
なんか、夏休み通して色々ありすぎて
そんなことを思い出してたら
本番前なのに、急に泣きそうになった。
―たいせー、はよ舞台袖入れぇ。
お客さん入れんでー―
「あ、すみません。戻ります！」
舞台上でぼーっとしてたら指示が出たから
慌てて袖に引っ込む。
健「たいせーどうしたん？
もうエモなった？」
「まぁ、そんなとこ」
健「ふは、ウケる(笑)」
「うるさ」
健「言っとくけどな、……俺もや(笑)」
「健ちゃん大好き♡」
阿「キモいってお前ら(笑)」
阿南にツッコまれながら控え室に戻ったら、
先に戻ってたエリーは今日も真面目に台本を確認してた。
健「そんなんやらんでも、俺らの台詞まで全部覚えてるやろ(笑)」
江「そうだけど、やらないと落ち着かなくて」
最初はガッチガチに緊張してたエリーも
今日はもう落ち着いて笑ってるし。
恩「エリーちゃん、すっかり貫禄ついたよね」
江「え、そそんな私なんて！」
健「確かになぁ、
この間まで香坂先輩にいびり倒されてたのになぁ」
阿「やめとけこじけん、香坂先輩に絞め殺されんで(笑)」
江「確かに、厳しかったけど。
でも、そのおかげで自分に足りないところとかも分かったし。
今は、感謝でいっぱいです」
健「……そう言われると、俺が悪者やねんなぁ」
「純情には敵わへんよな(笑)」
阿「はは、しゃーないしゃーない！」
恩「こじけんがこなれ過ぎなんだよ」
明らかに、夏休み前より仲良くなった俺ら。
俺は脚本、エリーと恩ちゃんは裏方やりながらやったけど、
結局全員が舞台に立つことになって。
こじけんが演出のアイディア出してくれたり、
エリーの個人特訓にみんなで付き合ったり、
稽古終わりに飯行ってあれしたいこれしたいって話したり、
そんなんが全部、青春やったんやなって
くすぐったい気持ちになる。
「みんな、」
俺の声にすぐに振り返ってくれる大切な同期たち。
「ラストやけど、後悔せぇへんようにやろうな」
阿「何イキってん、当たり前やろ」
健「たいせー主人公モードや」
江「漫画で読んだことがある確か、」
恩「エリーちゃん思い出さなくていいんだよ」
何やねん、人が真面目に言うてるのに！
でもまぁええか。
きっと、みんなおんなじ気持ちやったはずやから。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
