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誠「A、」
「真剣にやってるの、ちゃんと伝わってるよ。
だから、……本気で続けたいなら、諦めてほしくない」
伝わってほしい、
誠也くんを応援してる気持ちが
少しでも、誠也くんの背中を押せたらいいのに。
じっと見つめた先にいる誠也くんは
ふ、って小さく微笑んで近づいてくる。
誠「ありがとうな、A。
俺のことずっと見ててくれて」
頭をゆっくり撫でる誠也くんの手は優しい。
誠「まだどうなるかなんて分からへんし、
そもそもちゃんと卒業できるか分からんけど(笑)
ちゃんと向き合うから」
最後にぽんぽん、ってして手が離れる。
さっきより少し明るい表情になってて、ほっとした。
やっぱり、誠也くんの笑顔が一番好きやもん。
誠「ほら、行こ」
「うん、」
並んで歩く街路樹は少しずつ青みが褪せていって
この木は銀杏やから、もう少し涼しくなったら黄色くなるんやろうなぁ。
誠也くんと2人で歩きたいなって思ってたら、
誠「Aの誕生日やねんけどさ、」
「え、うん」
誠「平日やんか」
「確か、そうやったはず」
誠「できたらでえぇねんけど
学校、サボらへん？」
「え、」
誠也くんがそんなこと言うなんて珍しくて。
いつも、学校ちゃんと行ってて偉いって言うてくれるのに。
誠「あ、無理なら全然、マジでえぇから。
やけど、Aの誕生日をいっぱいお祝いしたいなって思うたら
何時間とかじゃ足りひんねん。
1日ぐらいもらわな」
「サボる！」
誠「え、」
「誠也くんと大学サボりたい！」
そんなやんちゃなことでも誠也くんとならやってみたい。
初めてのことで、胸がドキドキしてくる。
誠「……Aが不良になってもうた(笑)」
「誠也くんのせいやもん」
誠「はは、俺のせいやな(笑)
なら、責任取らな」
こっちを向きなおった誠也くんが
かしこまって姿勢を正す。
誠「Aの誕生日全部、俺にちょうだい？」
あざといくらい甘い声で、
きゅんきゅんしちゃう優しい表情で、
王子様みたいなこと言うから、
私、今身体中からハートが出ちゃってるかも知れへん。
こんなん大好きになっちゃう。
誠「お返事は？」
「……うん！もらってください！」
断るなんてありえないもん。
もう今すぐに誕生日になればえぇのに、って
スキップしたくなる。
にっこにこしてるに違いない私を見て、
誠也くんは
誠「よかった」
って照れくさそうに笑った。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
