★〇キミと一緒だから-Red ページ14
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賑やかなランチが終わって、
大学に戻らないといけない誠也くんが「駅まで送る」って言うてくれたから
2人でぶらぶら大学沿いをお散歩する。
「土日終わったら後期が始まるね」
誠「そうやなぁ、はぁ……ダルいわぁ」
「誠也くん本当に嫌そう(笑)」
誠「3年の後期は課題少ないって聞いてたのに
めっちゃ出されて腹立ってんねん」
誠也くんのいる芸能音楽学部は他の学部みたいにテストが多い訳やなくて、
その代わりに課題がいっぱい出るらしく、
しかもその課題が、お芝居の歴史をまとめるとか舞台の設定考えるとか
私にはもう何が何だか難しいものばっかり。
「でも、誠也くんやったら
そつなくこなしちゃうんでしょ？」
誠「まぁな(笑)」
ニヤッて得意げに笑う誠也くんはやっぱりカッコいい。
真剣にお芝居に取り組んでるから
絶対サボったりしないって分かってるもん。
そんな誠也くんを誇らしく見つめてたら、
ふぅって息を吐いて誠也くんが口を開く。
誠「まぁ、授業以外でもやることいっぱいあんねんけどな」
「そうなんだ、」
誠「学祭公演あるやろ？
で、それ終わったら役員も引き継がなあかんし、」
「そっか、もう部長終わりなんだね」
誠「まぁ、終わりって言うても2月に外部公演あるし、
そこまではバリバリ部活やるけど。
それに、そろそろ進路のことも考えなあかんからな」
「進路……、」
あんまり、誠也くんから聞きたくない言葉が聞こえて
気持ちがしょげる。
誠「なんちゃってインターンしに来いって
親父がうるさいねん(苦笑)」
「あぁ、誠也くんパパ？」
誠「そ。今は応援してくれてるけど
ほんまは俺に会社継いでほしいんやろうなぁって」
「そう、だよね、」
誠也くんのパパは何社も会社をやってる実業家で
うちのパパとも仲がいい。
そのご縁で小さい頃から誠也くんと遊んでた訳やけど、
誠也くんが今の大学入るって言いだした時は
それはそれは大揉めしたって話を
誠也くんからも、誠也くんのママからも聞いてた。
誠「……演劇、続けたいねんけどな」
ぽつりと呟いた言葉は
まぎれもなく誠也くんの本音。
だけど、安定しない役者の道を続けることを
誠也くんのパパが許してくれるかは分からない。
せめて、私にできることと言ったら、
「誠也くん、」
誠「ん？」
「私、誠也くんの演劇のことお話してくれる時の顔が好きだよ」
言葉を、気持ちを届けることぐらいだから。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
