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それなら、何度か迷子になったけど、
待ち合わせが早かったせいか
受付に辿り着いてもまだお客さんは誰もいなくて。
螢「早く着きすぎちゃったね」
「そうだね、どこかで時間になるまで待っとこう？」
座れるところでもないかな、ってきょろきょろしてたら
受付って書かれた机に座ってた
部活Tみたいなのを着てる人とふと目があった。
あれ、この人、
良「あら？お嬢さんどこかで」
「えっと、多分オープンキャンパスでお世話になりました」
良「あ、そうや！こじけんとこのよっしーちゃんや！」
“こじけんとこの”
そんな言葉ひとつなのに、胸はきゅんってときめく。
螢「よっしー知り合いなん？」
「うん、オープンキャンパスで助けてもらって」
良「初めまして。よっしーちゃんのお友達？」
螢「はい！
良「へぇ、螢灯ちゃんって言うんや。珍しい苗字やなぁ」
螢「みんなから言われます(笑)
けど“ほたる”ってすぐあだ名憶えてもらえるんで
それはそれでラッキー！って感じで(笑)」
良「あはは、確かに(笑)
そんなら俺もほたるちゃんって呼ばせてもらお」
螢「ぜひ！」
ほたるちゃんと正門先輩が仲良く話してる傍で
パソコンを叩いてるお姉さんにすっと目がいく。
綺麗な人……。
テレビの女優さんみたいに整った横顔につい見惚れてたら
私の視線に気づいたのかお姉さんが顔をあげて、
―ん？なにか？―
「あっ、すみません。お綺麗だなと思って、つい」
―あらら、お恥ずかしい―
恥ずかしそうに口元を隠す仕草が上品で、
このお姉さんモテるんだろうなって子ども心にもすぐ分かる。
良「きりのえぇとこまで書けた？」
―うん。あと10分で開場だからもうやめとく―
良「そっか。あ、紹介するな。
この美人さんは俺の同期で脚本担当してる結城です。
結城、こじけんの後輩のよっしーちゃんとほたるちゃんやって」
「初めまして、吉澤です」
螢「螢灯です。ほたるって呼んでください！」
結「ふふっ、よろしくね。
こじけんくんの後輩ってことは、
大晴くんの後輩にもなるのかな？」
螢「えっ！」
福本先輩の名前が出た途端
ほたるちゃんの顔が分かりやすくピクッ！ってなるから、
かわいいなって思いながら代わりに答える。
「はい、福本先輩はよく部室に遊びに来てたので
仲良くしてもらってました」
結「そっか……。じゃあ2人はあの制服姿を見てたんだね」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
