★〇心が鳴るのは(前編)-Purple ページ1
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螢「あっつぅい……メーク落ちそう……、」
9月の11時過ぎはまだまだむっとするように暑くて、
それでも雲ひとつない空が高く見える。
「……初日にぴったり」
螢「ふふっ、そうやね？」
昨日の夜、
こじけん土曜日、2公演あるけどどっち来るん?
と、小島先輩から連絡があって
よっしーどっちでもいいって言ってますけど、お昼遊んで夜公演行くのもいいんじゃない?とほたるちゃんは言ってました
って返したらすぐに、
こじけん未成年が夜遅く歩いたらあかんで。ちょっと遅なるかも知らんけど昼飯奢るからお昼に来なさい。
って心配性のおかんみたいな返事が来たから、
ただ今、高校生2人で大学をそわそわしながら歩いてる。
螢「めっちゃ楽しみやね、よっしー！」
「ほたるちゃん、それずっと言うてるよ(笑)」
そうツッコんではいるけど、本当は私もワクワクしてて。
だって、小島先輩のお芝居を観るのは1年ぶりだし、
しかもその初日を見れるなんて
そんなん滅多にない機会やから。
どんなお芝居するんかな、って
昨日の夜お布団に入ってから考えてたら
ドキドキして寝れなくなったくらい。
螢「それにしても、ほんまにおっきな大学よねぇ」
「演奏会とか舞台ができる場所が何カ所もあるらしいし、
音楽科用のスタジオとかもたくさんあるんだって」
螢「ほえぇ、すっごい……。
でもここで大晴先輩が勉強してるんやもんね！
ちょっと深呼吸しとこ！」
「う、うん……」
キラキラした瞳で深呼吸してるほたるちゃんを
何とも言えないまま見守ることしかできなくて。
1人で行くのも悪い気がしてほたるちゃんを誘ったものの、
正直、私の方が気が気じゃない。
今日やって絶対、福本先輩に会うって分かってるのに。
……なんて、おこがましいにも程があるけど。
螢「お昼ご飯、大晴先輩も一緒かなぁ？」
「どう、だろうね……」
福本先輩のことやから、私達が来てるって分かったら
「一緒に飯でも行こうや！」ってきっと言うてくれるんやろうけど。
ほたるちゃんに無駄に期待させたくはないから曖昧に頷いとく。
螢「あんまうちからLINEできひんくて
大晴先輩と話すのめっちゃ久しぶりなんよね……」
ほたるちゃんが握りしめてるスマホのホーム画面は
水族館で撮ったって嬉しそうに言ってた2ショットで、
「……早く会いたいね」
後ろめたさが苦しくて、少し足を速めた。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月22日 2時
