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20時が過ぎた頃、ぼちぼち人が増えてきて。
リチャ君が買ってきてくれた冷やしパインを2人で食べながら
よもやま話をしてたら
急にリチャ君が、
リ「幸せやな」
そんなことを言いだして。
「酔ってる？」
リ「いや、全然素面」
「どうしたの？」
リ「言いたなっただけ」
珍しい、やっぱり酔ってるんじゃないの？って
じっと顔を見たら、
リ「やから酔ってないって(笑)」
って目を覆われた。
リ「来年の今頃、俺ら何してるんやろうな」
「そうだねぇ……、就活は終わっててほしいなぁ」
リ「そうやなぁ、卒論も目処ぐらいは立っててほしいよな」
「それは本当に頼むって感じ」
隠してた手が外れて
ぼんやり空を見上げる。
リ「でも、来年も一緒におっててほしいよな。俺ら」
「……そこは、『一緒にいたいな』って言ってくれないの？」
リ「未来はどうなるかなんて分からへんやん」
あっさりそう言い切ったリチャ君に
少し呆れて、でもまぁ、この人はそういう人だよねって思う。
リ「でも、」
言葉を続けたリチャ君が
まっすぐに私を見る。
リ「できれば来年も、
その先も、清風に隣におってほしいって思うてる」
もう、本当にリチャ君は。
包み隠さず、飾らない言葉を
私が欲しい時にくれて、
だから、私はずっとこの人のことが大好きで。
「……私も、リチャ君が隣にいてほしいなって思う」
素直に伝えた言葉も
優しく微笑んで受け取ってくれるから。
リ「A、」
滅多に聞かない言葉が、耳に届く。
「はい、なんでしょう」
リ「好きやで」
「……うん、私も、」
ひゅぅぅ……
ドドーン……！！
言葉の続きを遮って響いた花火の音。
空を見上げたら大きな花が咲いていた。
リ「綺麗やなぁ……」
何度も何度も消えそうになったら次のがあがって
夜空はずっと明るくて。
楽しそうに花火を見上げてるリチャ君の耳元に手を添える。
花火の音に消えないように、
でも、花火の音に隠れるように。
「リチャ君、……大好きだよ」
パッと振り返ったリチャ君と目が合う。
驚いてた顔が少しずつ、甘くて優しい表情になって
リ「俺もや、」
そっと差し出した手と手が重なって、
指先が絡み合う。
きっと今夜のこと、ずっと忘れないんだろうな。
確信めいたそんな予感がしながら
リチャ君と花火を見ていた。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
