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京都について、
リチャ君のおすすめの抹茶ロールケーキを食べて、
また電車に乗って最寄り駅まで移動して。
少しずつ増えてる浴衣姿のお兄さんお姉さんは
間違いなくご一緒さんだ。
「ここら辺はリチャ君の実家なの？」
リ「いや、ただ高校の連れとかが家が近くやから
土地勘はそこそこある」
「そっか。じゃあ、もしかしたら友達に会うかも」
リ「めんどいなぁ、それ」
「そう？高校時代のリチャ君のこと聞いてみたかったのに」
リ「別になんも変わらんって(笑)」
めんどくさそうに笑ってるリチャ君について
電車から降りたら
やっぱりお兄さんお姉さん達も降りてきて、
ホームは人でいっぱい。
まるで色とりどりの浴衣に流されてるみたいに
改札口までぞろぞろ進んだら、
ようやくリチャ君の隣に出られた。
「はぁ、人多いね」
リ「花火大会やしなぁ、人酔いした？」
「全然。浴衣綺麗だなぁって見てた」
リ「ほんまやな。
この間まで『欲動』やってたせいで割と見慣れたつもりやったけど、」
「『欲動』の衣装は全部
色調抑えめだったもんね」
リ「でも、清風はそっちの方が似合うてる気ぃする」
「あ、どうする？
これでケバケバド派手なピンクとか持ってきてたら」
リ「ないやろ、清風は(笑)
ただ、それでも別にえぇで？
多分、『似合ってる』って言うもん」
可笑しそうに笑ってるのに
そういうことをさらりと言うから、
つい悪戯心にスイッチが入る訳で。
「口だけ？」
リ「えぇ？
何やろ……。
それこそ、……惚れた弱みってヤツ、ちゃう？
何着ても綺麗やなぁって多分思うし、言うもん」
一本取ったつもりだったのに、取られたのは私の方だったみたい。
惚れた弱み、なんて
そんな台詞をちょっと照れくさそうに言うんだもん。
本当にズルいよ。
「……そういうことなら有難く受け取らせてもらいます」
リ「最初から素直に受け取ってください」
「はーい、」
ホテルにつくまでの知らない道を
リチャ君とぶらぶら歩く
9月頭って、こんなに暑かったかな。
「浴衣に着替えるハードルがあがった気がする」
リ「なぁんでよ」
「だって、心からの『似合ってる』ほしいじゃない。
ここまで来たら、」
リ「そんなん言うたら言う俺もハードルあがるやん。
やめぇや(笑)」
「相打ちにしよ、これで(笑)」
リ「なんやねんそれ(笑)」
ホテルまでは、まだ少し。
2人でお散歩の時間も、もう少し。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
