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必死に次の攻撃手段を考えてたら
正門先輩は可笑しそうに笑ってお腹を抱えてる。
良「あぁもう、ほんまエリーちゃんの表情ツボやわぁ(笑)
なんでそんなかわえぇん？」
「べ、別にかわいいと思ってやってる訳では！」
良「そぉなん？
俺だけ？
くるくる変わるからずっと見てられんねんけど」
もう、本当に正門先輩の言葉には
全部きゅんきゅんのもとが入ってるくらい甘いから、
その気がなくてもほっぺが熱くなる。
「正門先輩、おしゃべり禁止です……」
良「えぇー、えぇやん。
おしゃべりしようや」
「明日の公演に大きな影響が見込まれます、」
良「あらら、それは大変」
「じゃあどうしよ」って
何かを考え込むようなその素振りはなんなのでしょう？
嫌な予感しかしないのですが。
良「あ、そうや」
そう言ったら、急にスマホを触りだして。
ぽこん、
正門先輩が
「が？」
正門先輩ん
ば
れ
「が・ん・ば・れ、」
一文字ずつ送られてきたメッセージを繋げたら
スマホから顔をあげた正門先輩と目が合う。
良「頑張れ、エリーちゃん」
くりっとした目をくしゃってして優しく笑うから、
胸が急に音を立てる。
「……がんばれ、って言ってる、」
良「あ、しゃべっちゃった(笑)
でも、これは直接言いたなってな。
ずっと頑張ってきたから。
やから、」
頭にぽん、と乗る大きな手。
良「頑張れ、頑張れって
俺、明日も明後日もずっとそう思ってるで」
“頑張れ”
その言葉が伝わるように、撫でられる手の温度を感じる。
あ、ダメだ。
うっかりもう泣いちゃいそう。
「……頑張ります、」
良「おん。応援してんで」
最後にわしゃ、と前髪を崩して
離れていった手が名残惜しい。
良「ほんなら、明日な」
「はい、おやすみなさい」
良「おやすみ、」
ひらひらと手を振って正門先輩の背中が遠ざかる。
撫でられた頭を触ってみたら、先輩の香水の匂いがした、気がした。
ぽこん、
通知の音がしてスマホを開く。
正門先輩今日は夜更かししたらあかんよ?良い子は早く寝ましょう。
それと、眠ってるリスのスタンプ。
「ふふ、かわいい、」
正門先輩らしいなぁ、
さて、なんて返そうかな？
そんなことを悩んでみながら歩く帰り道は
街灯だけのはずなのに
星空みたいに煌めいて見えた。
〇もっと、近くにいて？-Orange→←〇◆星空とプロローグ-Blue
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
