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結「ということもあって、これは却下にした」
改めて今年の候補に話は戻って。
そりゃ、去年がそんだけおもろかったら余計にプレッシャーやんなぁ
でも、どれもおもろそうやし、
どれかひとつって……、
ん？
「……どれかひとつにする必要、あります？」
結「え？」
誠「どういうこと？」
不思議そうな顔してこっち見る先輩ら。
やけど、ひらめいちゃった俺はワクワクしてきて。
「これ、全部やりましょうよ！」
巽「と、言うと？」
「例えば、ある脚本家が次の舞台の話が全然書けへんって悩んでる。
ほんならそこに、考えたキャラクター達が出てきて、
『次の主役は俺らや！』ってケンカ始めるんです。
そんで色んな脚本のキャラクターが出てきて、ぐっちゃぐちゃになって、
最後はどんでん返しっていうか、
ドタバタにしてもえぇし、
脚本家の話に戻って、ちょっとシリアスになってもえぇし。
あ、いっそこれも劇中劇みたいにしてまうとか！」
想像したらどんどん面白くなって一気にわぁー！って喋ったら、
先輩らが目を点にしてて。
「あ、……すみません、急に」
めっちゃはずい……！
急に話し出して俺、絶対変なヤツやん。
顔あげれへんけど、チラッとユキさんの方を見る。
そしたら、めっちゃキラキラした目をしてた。
それは、いつも脚本の話にスイッチ入った時の目。
結「……それ、すごくいいよ」
「え……、ユキ、さ！？」
ほっぺをむにゅ！って両手で潰されて
顔をあげさせられる。
へ、顔めっちゃ近い……！
結「どうせなら、世界観に特徴があるものばかり集めて
もっとカオスにしちゃおうよ！
小道具もいっぱい作ってもらって、
役者も多く、いや、逆に何役か演じ分けしてもらって
出番被ってる！なんて展開があってもいいかも。
ねぇ、誠也くんっ、」
誠「お、おう、そうやな。
今回は役者もフルに出せるし」
ユキさんの勢いにたじたじになってる誠也くんと、
巽「えぇな。
話の派手さも規模も、
学祭公演って感じの内容になりそうやんか」
感心したようにニンマリ笑ってる巽先輩。
え、これほんまにいけるんちゃう？
初めて、脚本らしいことした気ぃする。
いや、今までやってちょっと台詞考えたりはしてたけど。
それよりもっと、おっきなものに
触れた手応えがあって。
何より、
結「大晴くん、それでいこうよ！」
ユキさんが本気の目してるから。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
