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瞬きをした拍子に、零れた涙が頬を伝う。
不謹慎やって分かってるけど、
涙を流したユキさんは凛として、綺麗やと思った。
結「また「甘い」って言われたらどうしよう、
面白くないって言われたらどうしよう、
私のせいで、みんなのお芝居が台無しになったら、
そういう不安をなんとか押さえつけて、2つは書けたけど。
学祭公演の話が回って来た時に、
いよいよ何にも書けなくなって、
心が折れた」
誠也くんから聞いた。
お盆の前には、ユキさんに脚本の話を回してたって。
つまり、そっからずっと
ユキさんは書いて、消してをくり返して
ずっと、1人で苦しんでたってことで。
結「かなり、自棄になってた。
だけど、そんな私なのに、大晴くんが優しいから。
素直だから、純粋だから。
……心配をかけたくなかった」
俺を見て、微笑んだユキさんから涙が落ちる。
「やから、……俺にも言えへんかったん？」
結「……ごめん。
でもやっぱりエゴだよね。そんなの、」
ピーッと、コピーが終わった音が響く。
結「昨日、大晴くんに怒られて反省したんだよ。
私は、私のことをはっきり伝えるのがあまり得意じゃないから。
自分の中で解決しなきゃって
ますます抱え込んじゃって。
でも、頼ってもらえないのが辛いって言うのは、
なんか、理解できたから。
だから、……ありがとう。
怒ってくれて、」
涙を拭いて笑った頬に夕陽が写る。
それだけで、気持ちがちょっと軽くなった。
ちゃんと、俺の言葉はユキさんに届いてたんやな。
やから、話してくれたんやなって。
「話してくれてよかったです。
ユキさんの本音聞けて。
ありがとうございます」
結「そんな、大晴くんがお礼を言う事なんて、」
「それでも、」
もごもご言ってる言葉は遮って。
「俺は、嬉しいんで。
よーやく腹割って、脚本のこととか話せる気ぃします」
結「大晴くん、」
「ってことで、俺も今日から本気出すんで。
もう、遠慮せんと脚本教えてくださいね！
スパルタでもえぇんで！」
結「……ふふ、うん」
呆気に取られてた顔が、嬉しそうに綻んでいった。
あぁ、ほんまにこの人は脚本が好きなんやな。
そんで、俺は、
そんなこの人のことが大好きなんやな。
何度、惚れなおしてんねん。
そんなしゃーない笑みが浮かぶ。
で、そんな俺を見てまたユキさんが笑うから。
あーぁ、また大好きやなって。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
