〇もこ、もこ。‐Blue. ページ33
・side.Yoshinori
深夜1時過ぎ。
結「ん、んん……」
ぼーっとスマホ見てたら、隣で衣擦れの音がして
結「まさ、かど……？」
「ん、起きたん？」
結「うん……、」
ぼんやりと枕から頭だけあげた結城の髪の毛を撫でたら
壁にもたれてた俺の腰に腕を回して
頭をすり寄せてくるから
かわえぇなぁって、そのままさせておく。
結「……いま、何時？」
「うーん何時やろ？夜やで」
結「……脚本、」
「こら、約束破ったらあかんやろ？
脚本のことは、明日誠也くんと相談するって」
結「でも、」
「わがまま言わへんの」
結「んー……、」
小さく唸って、不安そうに頭振るから
頭を撫でて髪の毛を分ける。
潤んだ目が俺を見あげてくる。
「大丈夫やって。
誠也くんやって、ちゃんと分かってくれる」
結「……失望、されちゃう」
「せぇへん。
そんな人ちゃうって、結城も分かってるやろ？」
ちゃんと伝わるように
小さい子にするみたいに言ったら、
ゆらゆら揺れてた瞳も、少しずつ落ち着いてきて。
ゆっくり身体を起こして、ベッドの上で向かい合わせになった。
結「……正門、ありがとう。
いつも隣にいてくれて」
小さい声でそう言って、俺の左手の親指をきゅって掴む。
赤ちゃんに指出した時に掴まれるみたいな感じ。
それやる時はだいたい不安がってる合図やから、
髪の毛を撫でて、そっと抱き寄せた。
「大丈夫、俺がついてるで」
肩にかかる髪の毛は、もうあの時みたいにボロボロやなくて、
指を通せばさらさら流れてく。
結「ねぇ、正門、」
「ん？」
結「……キスして、」
じっと俺を見た結城の目が、ゆっくり閉じる。
緩く噤んだ薄めの唇に指が伸びる。
あぁ、ほんまにかわえぇな。
親指で下唇を焦らすようになぞったら
そのまま、
結「ん、……」
色っぽい吐息が漏れて、結城の目が開く。
ちょっと不満そうに。
「なによ？」
結「思ってた感触と違ったから、」
「びくってしたもんな、」
キスした鼻先をつんって触ったら
唇を尖らせて上目がちにこっちを睨んでる。
結「……正門って本当に、ズルいよね」
「そんなん言うならお互い様やんか」
そう言ったら困った顔するから
髪の毛をわしゃって崩したら、
嫌そうに笑って首を振った。
ほんまに、結城は優しい。
濁したところをそうやって、優しいオブラートで隠してくれるから。
曖昧なまんまでいさせてくれるから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 176人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
