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眞「結城ちゃん、」
立ち上がったまなぁちゃんの目にも、涙が浮かんでて。
眞「ごめん、今まで結城ちゃんのこと誤解してた。
酒寄の言いなりで、自分の意思なんてないんだって。
だけど、この脚本読んで
自分がバカみたいな勘違いしてたことに気づいた。
……ありがとう、結城ちゃん。
この脚本で戦ってくれて」
結「うっ、うぅ、っひく、……うぅぅぅ、うわぁあぁぁぁ……！」
堰を切ったように
声をあげて泣き始めた結城ちゃんを
まなぁちゃんと2人で抱きしめる。
私、この子のこと大好きや。
絶対、二度とこんな泣き方させへんって、
その時に誓った。
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健「で、その後酒寄某はどうなったんす？」
「その件があってすぐ演劇部辞めたで。
まぁ、直前に誠也先輩からキッツいお灸据えられたから
正直、逃げたって言っても過言ではないんやけど(笑)」
あの時の誠也先輩の啖呵と言ったら、
正直、惚れるくらいカッコよかったんやけど
その話はまた、今度にしよ。
ハチ子の映像を戻しながら、別のファイルを開く。
空はもう薄暗い、7時前ってとこかな？
ちょうど開演時間くらいやん。
江「それで、新入生公演が『ジュエリーゼ』になって……。
稽古、間に合ったんですか？」
「うん、もうみんな死ぬ気でやったもん(笑)
夏旅行の時以外ずっと稽古場おったし、
裏方チームも一から作り直しやったし」
健「よぅ間に合わせましたね」
「みんな本気やったからかな。
ユキの脚本がよくて、それに応えたいってのと
酒寄に目にモノ見せたるわ！って
そういう気迫みたいなんがあったんやと思う」
探してた映像が見つかって、クリックする。
あぁ、懐かしいわぁ。
いつぶりに見るかな、私も。
「まぁ、そんなこんながあったってことで。
よかったら、観てみてよ。
『ジュエリーゼ』今から流すから」
こじけんも、エリーも、
そんで大晴も。
あの時のうちらの熱を感じてほしい。
きっと、色々思うところがあるって
うちはそう信じてるから。
お願いって気持ちを込めて再生ボタンを押した。
・
「うぅ、10時か、」
『ジュエリーゼ』を見て、
そのまま晩ご飯も食べて。
あかん、1年遅くまで残したって
明日、誠也先輩に怒られてまうかも知れへん。
「……仲直り、できるとえぇな。ユキ、」
もう泣かせへんって決めたから。
星が綺麗な夜空に、器用貧乏な親友の笑った顔が浮かんだ。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
