〇ツンデレなお誘い‐Red ページ20
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「あれ、誠也くん……？」
後期前のガイダンスを受けた帰り、
掲示板にポスターを貼ってる誠也くんを見つけた。
ぴーん！って背伸びしてるけど、
ぎりぎり一番上に届いてないのがかわいくて
気付かれてないことをいいことにこっそり近づいてみる。
「誠也くん！」
誠「うわぁ！！誰、あ、A、」
「何してるん？」
誠「新入生公演のポスター張り。
夏休み明けてすぐの公演やし、集客頑張らなあかんから」
「はい、」って渡されたビラには
こじけんと大晴くん、エリーちゃんも写ってて。
「いよいよ本番なんだね」
誠「そうやなぁ、まぁ、色々あったけど
なんとか間に合いそうで安心してる」
「誠也くんもお疲れ様」
誠「何もしてへんよ、俺は」
謙遜してそう言ってるけど、
誠也くんだって色々文書を作ってたり
こうやってポスター貼りとかしてるの知ってるもん。
演劇って本当に大変で
それでも、誠也くんががそれだけ夢中になれるものだから。
「いいなぁ……、」
誠「なにが？」
「それだけ、夢中になれるものがあって」
誠「Aにもあるやん、夢中になれるもの」
「え？」
誠「アクセサリー作ってる時。
全然こっち見てくれへんもん」
ちょっと拗ねた風に唇を尖らせて
でも、すぐその顔は笑顔に変わる。
誠「デザイン考えてる時も、作ってる時も
A、めっちゃ楽しそうやで」
「よっし、できた」って
満足げにしてるポスターはちょっとだけ右下がりのような気がするけど、
言わないでおこうかな。
誠「来るやろ、公演観に」
「うん、土曜日の昼公演に行くつもり」
誠「あ、そんなら終わった後、ご飯行く？」
「え、いいの！」
誠「めっちゃ嬉しそうやん(笑)」
「嬉しいよ！……嬉しいって、思っちゃダメ？」
隣に並ぶ誠也くんを覗き込んだら
ふいってそっぽ向いて。
誠「……いや。
俺も一緒に飯行きたかったから、嬉しい」
だけど、最後はちゃんと目を合わせてそう言ってくれて。
「んふふ、楽しみにしてるね」
誠「おう、楽しみにしといて」
ふわって笑った顔が、やっぱり大好きやなぁって改めて思う。
誠「あ、指輪。つけてくれてるやん」
「うん、毎日つけてるよ」
誠「はは、そんならもっとちゃんとしたヤツやればよかった(笑)」
「ううん、これでいいの！
誠也くんがくれたものやから」
誠「そっか、ほんなら誕生日期待しといてな。
今月やろ」
「うん、いっぱい期待しとくね」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
