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良「だって2人は全然ちゃうみたいで実は似た者同士やったから。
エリーゼはほんまは人の目をいつも気にして
それを悟られへんように明るく振舞ってたし、
エリは気は弱いけど一度覚悟したものは絶対曲げへんで
周りにどう思われようが貫く強さがあった。
きっと、2人で1つの役やったんやろうなって」
「それは……」
―実は、私の内面をキャラクターにした2人でもある。―
“エリーちゃん”は2人とも結城先輩だから。
きっと、恋をしたのはそういうことで。
良「今のエリーちゃん見とったら、
“エリーちゃん”によぅ似てるって思うわ」
「……結城先輩もそう言ってました」
良「そっか……舞台の最後の方でエリがな、
“私は、吹けば飛んでしまうたんぽぽの綿毛のような弱い女の子。
だけど、たんぽぽはどこでも花を咲かせられるように
アスファルトにだって根を降ろせるのよ。”
って言うところがあるんやけど。
エリーちゃん見てたら、その台詞を思い出すねん」
「……私は、そんなに強く、ないです」
流されて、きっと吹けば飛ぶ綿毛のまんま。
私は、“エリーちゃん”にはなれない。
良「確かに強くはないかも知れへん。
それでも、今は演劇部で頑張ってるやん。
今のエリーちゃんは
演劇部に根を降ろして咲こうとしてるたんぽぽみたいやなって
俺はそう思ってる。
そんで、そんなエリーちゃんが一番輝いて見える」
「輝いて……」
その言葉をどこで聞いたんだろう。
―エリーちゃんはもっと自分に自信持ってえぇと思うよ？
こんなかわいい衣装作れるのに、
「自分なんて」って言うてもうたら
その衣装も輝かれへんくなるし、着る人も輝かれへん。
それよりも作った人が胸張って
『これ着てもっと輝いて！』って送り出してくれた方が
役者もその衣装着た時に強くなれるし、自信になる。
舞台の衣装ってそういうもんやで？―
あ、そうだ。
私、あの時キク子先輩にそう言われて
舞台の衣装を、
正門先輩の衣装を、作りたくて。
良「その輝いてる姿をそんまま舞台に持っていけばえぇんちゃうかな。
きっと真面目やから失敗せぇへんようにって
いっぱい気ぃ張ってんねやろうけど、
別に失敗してえぇよ。
台詞違うても、動き間違ってもえぇよ。
ただ、その役に入り込んでたら
それがお客さんの目を引くから。
俺が、今のエリーちゃんに魅かれてるみたいに」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
