〇たまにはこんなこと言ったりして-Yellow ページ9
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「明日は10時からバイトか、」
明日の予定を確認しながら
アイスでも食べようかって思ってた10時過ぎ。
退屈だからとSNSを開いたら
珍しくリチャ君の投稿が更新されてて
真っ先にアイコンをタップしてた。
『夏旅行2日目』
『５さいじのはなびたいかい』
手持ち花火片手に、にこにこの末澤君が手を振ってる動画だった。
多分、これ酔ってるよね？
親しい人の限定公開にしてる辺り、
本当にしっかりしてる。
♡を飛ばして
きよか末澤君、かわいいね
って送っておく。
「……お土産、楽しみだなぁ」
書道部の夏合宿は来週。
和歌山に行くから
梅干し買って行こうかな、なんて考えてたら、
prrr prrr
いきなり鳴った着信音に少し驚いて
スマホを見たら「リチャ君」の表示。
途端に嬉しくなってすぐに通話ボタンを押した。
「もしもし、」
リ『あ、ごめん。今電話よかったん？』
「うん、アイス食べてた」
リ『暑いもんな』
「旅行楽しんでる？」
リ『おん、ちょっと眠い』
「徹夜？」
リ『に、なりそうで眠い。すでに』
「ご愁傷様です」
誠『リチャー！誰と電話してんねん、花火まだあんでぇ！』
「あ、5歳児くんだ」
リ『アイツほんま、酔いすぎやねんって』
誠『だれぇ、リチャ』
リ『ないしょ』
誠『うっわ、そんなん言うんや！キモ！』
リ『焼き鳥にするぞ』
誠『あ、わかったぁ清風ちゃんやろ！』
リ『やからないしょやって』
誠『清風ちゃーん、末澤でーす』
不機嫌なリチャ君と
すごくご機嫌な末澤君の対比が面白くてつい笑っちゃう。
「こんばんは、末澤君」
誠『こんばんはぁ』
あ、本当に5歳児になってる。かわいい。
誠『今日なぁ、大宰府でおみやげかったからなぁ。
楽しみにしとってなぁ』
「そうなの？」
リ『言うなって！もう向こう行けよ！』
誠『つめたい！』
どうやら末澤君と格闘してる音がしばらく聞こえた後、
リ『……まぁ、土産はそういうことで。お楽しみに』
「うん、わかった」
リ『じゃあ、そろそろ切るわ』
「ありがとね、電話くれて」
リ『うん。清風、明日以降いつ暇？』
「そうねぇ、明後日かな。部活の後なら」
リ『じゃあ明後日』
「え？」
リ『……清風に会いたなったから』
言った後に恥ずかしくなったのか
「じゃあ」ってすぐ電話は切れた。
「……はぁぁぁ、」
言い捨てなんて、ズルいよリチャ君。
「私も会いたい」って、言わせてくれないなんて。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月3日 0時
