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ユキさんの瞳が、揺れてた。
花火大会の、あの時と一緒の目をしてた。
それ見て、夢から覚めたような気がした。
「……調子乗りました、すみません」
結「大晴くん、」
「俺、先に戻りますわ」
ユキさんから腕を離したら、
ふわってユキさんの甘い匂いがして
苦しくて、
ベッドに投げてたこじけんのTシャツ着て
そのまま部屋を出た。
健「あれ、たいせーおったん?」
「Tシャツ洗ってた」
健「あ、ってかそれ俺の寝間着やん」
「借りた。まっさんは」
健「え、トイレ行って、」
「先戻ろ、こじけん」
健「え、何で」
「ええから」
健「ちょ、えぇ?」
玄関におったこじけんの腕引っ掴んで
そのままコテージを出た。
頭ん中が、こんがらがりそうやった。
健「ちょ、たいせーどうしたん?」
うわぁ、俺何やってもうたんやろ。
今日の朝、襲うとからしくないって思ってたやんアホ。
健「たいせー、なぁ?」
けどユキさんやって悪ない?
「気持ちよさそう」ってあんなんズルいわ、
勘違いするやんけ、期待するやん。
健「なぁって」
ってかやっぱまっさんなんかな。
あんな顔させて、
俺やあかんのかな、
でもちゅー、嫌がってなかったやん。
俺の勘違いなん、あれ。
健「たいせー!こっち向かんかい!!」
「うげ!」
腕めっちゃ痛くて振り返ったら
こじけんにガチガチに関節キメられてて
「いたいたいたいギブ!ギブギブ!」
健「連れ出すんはお姫様だけにしとけアホ!」
「ごめん!ごめんって!」
健「1人で百面相しよって、説明するか!?」
「する、するするする!やから離して、」
健「よぉし、ついでにTシャツ泥棒の罪も許してやる」
「あ、りがとうございます……」
洗いざらい、さっきのことを自白することになった。
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健「ふぅーん、たいせーにしては男見せたやん」
「流されたんやって、しかも結局未遂やし」
健「夏の夜は、夢を見せんねん」
「意味分からへん……」
けど、夢やってのはなんとなくわかる。
一瞬の悪だくみにまんまと流されて。
もしかして、ユキさんもそうやったんかな。
「ノーカン、やんな」
健「その方がよくない?たいせーの心情的にも」
「おん。……そうやな」
自分でもキスするって時に戸惑った。
こんなんでユキさんとちゅーしてええんかって。
つまり、これは、
健「夏の夜の夢ってことや」
「……うるさ」
今、おんなじこと思ってたん
恥ずいわ。
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作者名:マリア | 作成日時:2023年10月3日 0時