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遊び疲れた帰りの車の中は
行きとは反対に静かで。
大晴くんとこじけんはおんなじ恰好で寝てるし、
エリーちゃんは気づいたら私の肩に寄りかかって寝ちゃってたから
くすぐったい気持ちでこっそり頭を寄せてみる。
誠「エリーとは友達になれた？」
「うん、エリーちゃん大好き。
今度、アクセサリーとお洋服見に行こうねって約束したの」
誠「そっか。よかったな」
「ありがとう、誠也くん」
誠「別に俺はなんもしてへんで？」
照れくさそうな誠也くんとバックミラー越しに目が合う。
リチャードさんも寝てるみたいで
車の中なのに、2人きり。
誠「……なぁ、A。
家に送るん一番最後でもえぇ？」
「うん。私は大丈夫やけど。どうして？」
誠「少しやけど、2人きりでドライブしよ」
「えっ……うん、わかった」
”2人きり”
その言葉がくすぐったい。
やっぱり誠也くんのほうがズルいもん。
こんなん、大好きになっちゃう。
・
リチャードさん、大晴くん、エリーちゃんの順番に
お別れしていって、
少しずつそわそわもおっきくなって。
健「ほんなら新学期にな。あだっちー」
「うん、またね」
健「じゃ、誠也くんおめっとさんでした」
誠「おん、気ぃ付けて帰れよ」
健「うっす」
近くのコンビニでこじけんを見送ったら、
誠「A、隣おいで」
「うん、」
助手席に乗り換えたら
誠也くんが「ふふっ」って嬉しそうに笑って
ハンドルを回した。
誠「なんか、久しぶりにちゃんと話した気ぃするわ」
「そうだよね……。
ごめんなさい、誠也くん。
ずっと気ぃ使わせて」
誠「いや、気まずなったんは俺のせいやろ？
なんも気にせんでえぇって」
「誠也くん、覚えてるの？」
誠「……ごめん。
実はまったく記憶ない。
やけどあん時のAが微妙な顔してたから、
絶対、俺がなんかしてもうたんやろうなって」
「そっか……」
何にも憶えてないんなら、
あの時、何で怒ってたの？とはもう聞けなくて。
誠「謝らなあかんことあるならマジで教えてほしい。
土下座でもなんでもするから、」
「いいよ(笑)
今日誠也くんとお話できたから
全回復したもん」
誠「回復って、やっぱ傷ついてたんやん。
なぁ教えてや。謝りたい」
「いいの！……プレゼントももらったし、もう充分」
焦ってる誠也くんが珍しくてつい笑っちゃう。
暗い車内の時計は
8月24日の19時ちょっと前を指してた。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月3日 0時
