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―お待たせいたしました―
「うわぁ、美味しそう……！」
ふわっふわのオムライスとグラタンが届いて
一口食べてみたら
本当に美味しくてしばらくもぐもぐ食べてたら、
健「よっしー、ほら」
「ん？なんですか、」
健「グラタン、食いたい言うてたやろ」
チーズのいっぱい乗ったところをスプーンに乗せて
こっちに差し出す小島先輩。
えと、これはつまり、
……間接キスというものなのでは。
確認するように小島先輩を見たら、
健「食べへんの？」
「あ、いや、その、」
健「あ、もっとほしい？わがままなやっちゃなぁ」
「いやその量でいいです！足ります、」
健「あ、そ。ならはい、」
「あーん、」ってそれっぽい声出して
口元に伸ばされたスプーンを
意を決してぱくっと食べる。
「ん、あつっ、けどおいひい、」
健「うまいよなぁ(笑)」
私を見ながらとけるように笑った小島先輩に
胸がきゅっとして
グラタンの味がよぉ分からへんようになった。
その後、どこかそわそわしながらオムライスを食べ続けてたら、
健「いただきぃ、」
「あ、先輩！」
健「ん、うま」
お皿から割とおっきくオムライスを切り取って
もぐって食べた小島先輩は美味しそうに頷いて、
「めっちゃ食べたやないですか！」
健「いっぱい残ってたから食べてえぇやろうなぁと思っただけですぅ」
「ほしいなら言うてくださいよ！」
ツンケン文句は言うてみたけど
心のどっかで
小島先輩にあーん、できひんかったな、なんて
ちょっと残念がってる私がいた。
半分こで頼んだフレンチトーストも
結局、半分以上私がもらって
小島先輩はのんびりコーヒー飲んでて。
なんか、
かわいがられてるんやなって
嬉しい反面、
これって同じ部活の後輩やからやろうなって
複雑な気分になる。
だって、こんなん女の子にいつもしてるんやろ？
先輩カッコえぇし。
絶対モテるやん、彼女いっぱいできてまうもん。
「はぁ……、」
つまらない気分でついたため息に反応する小島先輩。
健「どした？腹いっぱいで苦しい？」
「いえ、お腹はいっぱいですけど、」
健「そんなら少し歩くか？腹ごなしに」
「……はい、」
また愛想もない返事をしてしまったのに
小島先輩は笑って「じゃあ行こ」って伝票持って立ち上がる。
あ、そう言えば私映画のお金も払ってへん。
「先輩、」
健「お会計、まとめてで」
あぁ、なんやろ。
すっごい複雑な気分や。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月3日 0時
