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結「そうだなぁ……、“キセキ”って優等生だから、
あんまり服装も派手じゃない方がいいんだよね。
先生にみつかりそうになったらすぐ片付けられるような、」
「あ、分かります。
やから服の方じゃなくて、
例えばスクバにめっちゃジャラジャラつけてるとか。
彼女からもらったクマのぬいぐるみとか、チェーンとか」
結「あ、それはいいね」
エリーはこじけんのとこおるから、
自分のスマホにメモ取りながら
イメージを膨らませてく。
最初は気まずかったけど、
役の印象から衣装の話始めたら
ユキさんも俺もすぐ真剣になって。
ほんまに俺ら、演劇好きなんやなって
こんな時に気づく。
結「大晴くん、1つ。いい？」
「なんですか？」
真剣な顔したユキさんが
すっと手を伸ばして来る。
目の前まで伸びてきた手が前髪に触ったら、
すって指で挟まれて。
結「……髪の毛、そのままで行く？」
唇をつん、と尖らせて眉が動く。
「なんでですか？」
結「いや、今の大晴くんもカッコいいんだけど
その、……よかったら黒髪、どうかなと」
あぁ、なんやそういうことやったん。
エリーもユキさんもやっぱ似てるわ。
俺が茶髪にパーマ当てたん、気ぃ使って言えへんかったって事やろ。
ほんまに、優しい人らやな。
つい笑ってしまった俺に
ユキさんの指が慌てて離れる。
結「ごめん、せっかく髪型変えたばっかりだったのに。
でも、こじけんくんと阿南くんが茶髪でしょ？
恩田くんは短髪だし、そうなったら
キセキのキャラクター的にも黒髪が映えるなぁと思って」
「じゃあ、なんで今、指で前髪挟んだん？」
結「それは、黒髪にヘアピンしたらかわいいんじゃないかと。
襟足短めにして上にボリューム出して
前髪はおっきめなヘアピンで止めるの。例えばピンクとか。
で、耳はイヤーカフつけて、」
申し訳なさそうやった顔が
みるみるキラキラしだして
どんどんアイディアが溢れてくる。
ちゃんと聞いてるけど、メモ取らな追いつけへんかも。
でも、スマホ触りたないな。
今は、キラキラしてるユキさんの顔見てたい。
結「……あ、ごめん。急にスイッチ入っちゃって」
「ユキさん、めっちゃ喋ってた(笑)」
結「ごめんね、」
「怒ってへんで？むしろ嬉しい、」
結「本当？」
「ユキさんがつくった“キセキ”、
ちゃんと伝わったから」
そう言ったらユキさんの顔が
ふわ、って嬉しそうに綻んだ。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月3日 0時
