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カランカラン、
―ありがとうございましたぁ―
「Aちゃん、今日は俺が出すって言うたやん」
今日のためのおかんのお手伝い1か月集中コース
必死にこなして1万円もらったのに。
結「お手伝い、頑張ったんでしょ？
だから、さっきのケーキは私からご褒美ってことで」
「えぇ、そんなんズルい。
今日は俺がカッコつけたいのに」
結「じゃあ、プラネタリウム。
晶哉に甘えてもいい？」
ご機嫌ななめな俺のこと
分かってるみたいににこって首を傾げながら微笑む。
ほんまにAちゃんって
優しい小悪魔さんやから。
「わかった……、いっぱい甘えてください」
結「ふふ、はぁい」
小さく手を挙げながら
嬉しそうに俺のこと見やんでよ。
このままちゅーしたなる。
ふつふつ湧いてくる男の子の欲を自覚しながら、
でも楽しそうなAちゃんにぶつけるつもりはなくて、
あくまでジェントルに。
ただ繋いだ手に、ちょっとだけ力をこめた。
・
「うわぁ、けっこう並んでんなぁ」
結「日曜の夜だから少ないと思ってたけどねぇ」
そう思うのもみんな一緒、ってことか。
ずらぁぁっと並んだ行列にちょっとだけ落ち込む。
結「晶哉、あれ見て」
「ん？」
結「あれ、晶哉が言ってたきらきら、ふわ？」
「え？あぁ……ほんまや」
Aちゃんが指差す先には
灯りがちらちら、ついたり消えたりする蛍の光みたいな
プロジェクションマッピング。
あれだけ見てた訳ちゃうから、違うけど
確かにきらきら、ふわ。としてて。
結「本当にきらきら、ふわ！だったね(笑)」
にこにこ笑って楽しそうなAちゃん見てたら
落ち込んでたのもバカらしくなった。
結「舞台にもプロジェクションマッピング入れられないかな」
「さすがに、予算あるんちゃう？」
結「次の作品の演出で使えたらよかったのに、」
「もう次考えてるん？」
結「11月に学祭公演が控えてるからね。
もうそろそろ詰めとかないと」
「次、コンペやったっけ？」
結「うん、けど巽先輩は実修で難しそうだし、
大晴くんは新入生公演初めてだから集中させてあげたくて」
「じゃあ、またAちゃん作るん？」
結「まぁ、そうなるね」
「そっか……、無理せんといてな？」
去年の夏の初めに、
連絡つかなくなった時期があって。
しばらくぶりに会ったAちゃんはボロボロの姿で
「久しぶり」って笑ってた。
もう、そんなAちゃんは見たない。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月3日 0時
