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結「私は紅茶をストレートで。
あとはシフォンケーキを。晶哉は?」
「じゃあ俺はカフェラテと
ショートケーキお願いします」
―かしこまりました、―
暑くて身体が溶けそうやったから
美術館の近くにあるカフェに入って
優雅にティータイム。
向かいに座ったAちゃんはお仕事用やったんか
1つに縛ってた髪の毛をさらさらって解いた。
ふわって甘い匂いがする。
「ふふ、」
結「ん?どうしたの?」
「ううん、Aちゃんえぇ匂いするなぁって」
結「え、そうかな?今日は香水つけてないけど」
「つけんでえぇよ、そのまんまでえぇ匂いやから」
むしろ、香水の“つけてます!”って匂いより
多分シャンプーのふんわりした匂いが好きやし、
色気づかんといてほしいもん。
もう手遅れなくらい色っぽいお姉さんではあるけども。
結「晶哉がそう言ってくれるなら、つけないでおく」
「やった(笑)」
またまた、そんな俺を喜ばせるようなこと言って。
知ってんねんで?
俺やって。
「そう言えば、夏旅行楽しかった?」
結「うーん、楽しかったけど。
……うん、楽しかった」
「事件発生した?」
結「大したことはないよ(笑)」
「……あの、カッコえぇお兄さん?」
結「え?」
「たまーに写真とかに出てくる、カッコえぇお兄さんおるやん」
とぼけた顔してるAちゃんに
大晴くんが投稿してた集合写真の中から
お兄さんをアップにして見せる。
写真を見た瞬間、
少しだけ、Aちゃんの目が泳いだ。
結「……まぁ、その人とは、うん」
「違うん?てっきり付き合ってると思ってた」
多分違うって分かってるけど
あえてカマかけたら、
Aちゃんは小さく笑って俺を見た。
結「付き合ってたら、晶哉とお茶する頻度も減っちゃうかも知れないね」
あぁ、やっぱり
Aちゃんは鈍感ちゃうから
俺がカマかけたのなんて分かってて、
それでいて笑ってくれてる。
まだまだ、俺の方がお子ちゃま。
結「……むしろ、助けられたのかも。正門には」
「ふぅーん……、」
マサカド君、ね。覚えたで。
「大晴くんから、
『晶哉に合格御守買ったからユキさんからもらってな!』って
連絡もらってん。
大晴くんほんまに優しいなぁ。
Aちゃん、お礼言うとってな?」
結「あ、うん。そうそう、御守ね」
ぴく、と何かに反応したAちゃんが
そそくさと鞄を漁りだした。
あれ?もしかして、そっち?
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作者名:マリア | 作成日時:2023年10月3日 0時