〇星と王子様-Green ページ21
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午後3時、ちょっと前。
あんまり来たことないバス停で降りて
スマホ見ながらしばらく歩いてたら、
探してた建物が見えてきた。
まさやついたよー!
せっかくやから建物とツーショ撮って
Aちゃんに送る。
すぐに既読にはならへんやろうから
せっかくやし建物の中に入ってみたら、
暑いのがスーッてどっかいった。
静かやな。
外、みんみんセミ鳴いてたのに。
でっかいポスターには綺麗な女の人の絵が描いてあって。
「美人さんや、」
Aちゃんみたい。
その隣のちっさな額の絵には、線とか丸とかがいっぱい描いてあって。
……こっちの絵は、俺にはまだ早いな。
とか、よぉ分かってへんけど
頷いてみたりしてそれっぽいフリしてた。
結「晶哉、」
「うわ！」
後ろから急に声をかけられて肩がびくっ！ってなる。
振り返ったら、
当たり前やけど、Aちゃんがいて。
「もぉAちゃん、脅かさんといて！」
結「ごめんね(笑)
だって晶哉どう声かけてもびっくりするでしょ？」
「そうやけどさ、もっとあるやん、」
肩トントン、とかさ。
いや、この間トントンされてもびっくりしてたか、
ダメやんな。
結「晶哉ごめんね、怒ってる？」
「え、全然怒ってへんよ？」
黙っとったから怒ってるって勘違いしたみたいで
Aちゃんが眉さげて俺の顔を覗き込む。
俺の方が背ぇ高いから
自然と上目遣いになってるAちゃんに見つめられたら
怒っててもなんでも許してあげちゃうくらい
かわいくて。
「怒ってへん、けどぎゅーしたい」
結「うーん、……ここじゃ、よろしくない、かも？」
あ、そうやった。
ここ、美術館やし。
Aちゃんのバイト先やった。
「じゃあ今日のどっかでしよ？」
結「ふふ、分かった」
よっしゃ、言質取れた。って、
こっそりガッツポーズ。
結「行こうか、少しお茶しよう。
お土産渡したいし」
「お土産！？やった！」
結「あ、晶哉。しぃー」
「あ、しぃー……」
あかんあかん、お土産嬉しすぎてついテンションあがってもうた。
Aちゃんと2人して
唇に指当ててしぃーって見つめ合う。
なんかえぇな。
俺ら、本物のカップルみたいやん。
って、
「行こ、Aちゃん」
結「うん、」
ごく自然に、Aちゃんの手を引いて美術館から出る。
本物やないのに
手だって当たり前に繋ぐことができる
今の俺らの関係って、なんなんやろうな。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月3日 0時
