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なに、この人。
御守り渡したいなぁで電話くれたん?
そんなんズルい。
嬉しくない訳がない。
にやけた口元を隠すようにタオルケットを被る。
「お土産、買ってきてくれたんですか?」
健『おん、一応御守りとキーホルダーと』
「ふふ、嬉しい」
健『ほんま?』
「ほんまです、ありがとうございます」
健『……なんか、よっしーが素直すぎて怖いんやけど』
「だって、素直じゃなかったせいで
色んな人、傷つけてしまったから」
小島先輩も、
ほたるちゃんも、
もしかしたら福本先輩も、
私が正直やないせいで、
「……反省、してるんです」
健『……言うたやん、俺らは共犯やって。
ひとりで抱え込むなよ』
「でも、小島先輩も、悩んだんでしょ?」
なんなら一番、傷つけたくなかった人やのに。
健『でも、よっしーやってほたる巻き込んだの苦しんでたやん。
同じやって。
人間はみんな、間違える。
でも、そこから生まれる気持ちもある』
小島先輩の声は淡々としてて。
でも不思議と寄り添ってくれてる感じがして。
健『いつでも、頼ってくれてえぇから。
よっしーには、俺がついてんで』
「……頼りないなぁ、」
健『はぁ?俺、今けっこう真面目やったやろ(笑)』
「ふふ、嘘です。……頼りにしてます、小島先輩」
健『おん。全力で寄りかかってこい』
「どっこいしょー」って電話の向こうで呟いてるの
聞こえてますよ小島先輩。
まったく、すぐふざけるんやからこの人。
「いつ、会えますか?」
健『来週の土日どっちか。
せっかくなら映画とか行こうや』
「また、ぺんぎんといるか組で行きますか?」
健『……よっしーがえぇなら、』
「うぅーん……、やっぱり2人がいい、です、」
健『え、』
「今度は2人で、でしたもんね」
小島先輩からのメッセージ、ちゃんと覚えてるから。
健『……俺も、2人で行きたいなぁって思うてた』
「じゃあ、2人で行きましょ」
健『おん』
「たのしみ、に、してます……」
あぁ、気持ちよくなってきた。
目がおもたい。
少しだけ、とじても、えぇ、かな
健『よっしー』
あぁ、こじませんぱいの「よっしー」
やっぱり、すき、やな
健『おやすみ、遅くにごめんな』
そんな声が、きこえたきがして。
健『俺も、……や、』
その言葉はもう、なんにもわからないまま。
夢に、でてきてくれないかな。
夢に堕ちる一瞬前に、
そう思ったのは、なんとなく憶えてる。
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作者名:マリア | 作成日時:2023年10月3日 0時